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HELPが蔓延していないか、いつもチェックを

以上の4タイプを、小曽根氏は「ダークサイド」と呼んでいる。とくに承認欲求が強い「LOVE ME」のタイプは、加速度的に増殖する傾向があり、気づくと組織の半分近くが「HELP人材」で埋め尽くされてしまう場合もある。そうなるとSF映画のように、チームは「暗黒の世界」に転落してしまう。

まず、「HELP」は誰もが持ち合わせている人間の弱さであり、この気質を職場で出すか出さないかだけの問題だと捉えたい。この気質が職場で出過ぎると、評論ばかりして何も実践しなかったり、逃げてばかりで何ら成長できなかったり、承認欲求が強く必要以上に不満を溜め込んだり、その日の気分やプライベートな要素を職場に持ち込んで周囲に不快な思いをさせたりと、強いチーム作りを阻む社員になる。

マネジメント層は「HELP人材」が組織内に蔓延っていないかをチェックし、反対の人材タイプを割合的に増やすようにしたい。とにかく「HELP」は許さないという強い意志を、組織全体に示すことが肝要だ。

この2タイプなら、まだ救える

大抵の場合、「HELP」を顕在化させてしまった社員のマネジメントは難しいが面があるが、次の「M」と「E」はダークサイドに陥らないようにサポートすれば、「人間の弱さ」をきちんと克服できる社員にステップアップする可能性を持つ。

(5)M=悶々と働く

心の中で思い悩むことを抱えながら働いているタイプが「M」だ。こうした人材は負の感情をチーム内ですぐに吐き出してしまう。やる気のある人材の意欲を削いでしまうことにつながる。

(6)E=延々と働く

真面目に働こうとすればするほどこのパターンに陥りやすく、新たにマネジメント職に就いた新任店長や入社早々の新入社員などに多く存在する。ストレスや不満の感情を溜め込む前に、定期的に吐き出す場所をマネジメント側が提供し、メリハリを付ける習慣を持たせるように働きかけることが必要だ。

社員の評価は「本人の貢献+周囲に与える貢献」

社員が組織にもたらす貢献には、社員本人の貢献ポイントと社員が周囲に与える貢献ポイントという2つの領域がある。社員本人の貢献ポイントがいくら高くても、周囲に与える貢献ポイントが低い、あるいはマイナスの影響をバラまく人材が存在する。反対に、社員本人の貢献ポイントは高くないが、周囲に与える貢献ポイントが著しく高い人材が存在する。

前者は社員本人の貢献ポイントが仮に100点中80点だとしても、周囲の人にマイナス5ポイントを10人に与えると30ポイントの貢献でしかしないが、本人は80ポイント貢献していると勘違いする。後者は本人の貢献ポイントが100点満点中60点だとしても、周囲の人にプラス5ポイントを5人に与えれば、85ポイントの貢献が組織にもたらされる。

前者の人材が多いチームは崩れやすく、後者の人材が多い組織はチームビルディングが進みやすい。前者の人材タイプには「HELP」の兆候が見受けられ、とくに「LOVE ME」のタイプが多い。

採用の段階から、チーム作りは始まっている

強いチームが誕生すると、メンバーが組織統制や事業収益を改善させようと取り組み、各自が自転し始める。事業責任者が最初に取り組むべきことは、チームビルディングを完成させる仕組みづくりだ。小売業の場合なら、本部のマネジメントはまず店長を育てるように取り組み、その店長が販売スタッフを育てるための支援を全面的にバックアップする。さらに、店長同士が切磋琢磨しあえるように、社内環境を作り出すといった順序だ。

何より重要なのは、人材採用の面接時に、エントリーしてきた人材が「HELP気質」を持っていないかどうかを見極め、入口から制することが何より必要だと、小曽根氏は指摘する。

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