さて、エカテリーナの死後しばらくして、フランスではナポレオンの時代に突入します。彼のおいで後に皇帝となったナポレオン3世(1808~37)に見初められたウージェニーがスペインよりこし入れします。頭の回転が速く、政治に口出しせずにはいられないタイプ。メキシコを手に入れるため、そこで傀儡(かいらい)政権づくりを進めたのも彼女の入れ知恵だとか。しかしこれが失敗に終わったため、ナポレオン3世夫妻は非難を浴びます。しかも次にドイツ北東のプロイセンとの戦争に老いた夫を送り出し、捕虜にしてしまうという失態も。戦争に惨敗したことで国民の憎悪はウージェニー王妃に向けられます。そこで彼女はアントワネットの二の舞いにならないようフランスから即脱出。なんと94歳まで生き延び、第1次世界大戦で名だたる王室が崩壊するのを、1人で見届けます。
ウージェニー王妃
フランス●1826~1920
ヴィンターハルター作の結婚記念肖像。26歳ごろ。垂れ目で優しげな印象だが、実は強気な性格。右手の下に王妃の証しの王冠があり、ナポレオン1世との結びつきを思わせるローマ風庭園が背景に。
【光】上昇志向が強く、玉のこし婚に成功した野心家。亡命に関しては、先例からしっかり学んだ。
【影】王妃ながらとにかく政策に口を出しすぎた。そして、どれも結果的に失敗に終わらせてしまった。