目撃者が少ない「痴漢」自衛策は必須

「よく覚えていない」は禁句。示談にも応じるべきではない!<br><strong>国際弁護士 八代英輝</strong>●1964年、東京都生まれ。88年慶應義塾大学法学部卒。裁判官になったのち、97年退官。弁護士として活躍中。出演DVDに『八代英輝のビジネス交渉術入門』。
「よく覚えていない」は禁句。示談にも応じるべきではない!
国際弁護士 八代英輝●1964年、東京都生まれ。88年慶應義塾大学法学部卒。裁判官になったのち、97年退官。弁護士として活躍中。出演DVDに『八代英輝のビジネス交渉術入門』。

電車内における痴漢行為が後を絶たない。最近では、JR埼京線で男性4人が女性を取り囲み痴漢に及んだとして逮捕されるなど、卑劣な行為が明るみに出た。

一方、痴漢の冤罪事件も近年は目立つようになった。2008年2月に起きた、大阪市営地下鉄御堂筋線で男性が痴漢にでっち上げられた事件は記憶に新しい。

電車内の痴漢は、周りに人が多いにもかかわらず目撃者が少なく、物的証拠も取りにくいということから、冤罪がつくられやすい。通勤時の満員電車ならなおさらで、決して他人事ではない。あなた自身が疑いの目で見られないとは言い切れない。何らかの自衛策が必要だろう。

私が司法修習生時代、警察の痴漢取り締まりに立ち会ったことがある。刑事がチェックするのは、ホームに挙動不審な人物がいないかどうか。キョロキョロ周りを見回したり、電車が到着する直前に並ぶ位置を変え、女性の後に車内に乗り込むような人物は疑いの目を向けられる。これら誤解を招く行為は避けることだ。

車内でも、できることはたくさんある。可能ならカバンは網棚に置き、両手でつり革や手すりをつかみ、周りに見えるようにしておく。また、痴漢の多発地帯といわれる車輌の連結部近くにはいかないのもポイントだ。周りに怪しい人物がいないか、女性の有無も確認しておきたい。