「3行以上」の銀行と付き合え

企業を取り巻く金融情勢は大きく変化しています。銀行も生き残りに必死です。時代の変化を踏まえた銀行との付き合い方をしっかりと身につけておきましょう。

三條慶八『儲かる会社に変わっていく社長の全テクニック』(KADOKAWA)

まずは銀行に対する基本的なスタンスですが、残念ながら中小企業と銀行は対等とは言えません。大手企業であれば、必要な資金は社債を発行するなど自力で確保することができますが、中小企業は金融機関の貸し付けに頼るしかありません。

そのため、銀行に対して卑屈になってしまう社長さんもいますが、いくら弱い立場であるとしても、卑屈になる必要はありません。あくまで銀行にとっては「金融」という商品を買ってくれるお得意様なのです。約束通りに返済していれば、胸を張ってもいいくらいです。

また、弱い立場を強くする方法もあります。

1つの銀行とだけ取引をするのではなく複数の銀行と取引をすれば、より強い立場にたつことができます。「選ぶ権利はこっちにもある」と言えるわけです。私は、相談者の皆さんには、特色の違う3行以上と付き合うことを強くお勧めしています。

金融再編の大波に備えておく

複数の銀行と付き合う前に、銀行の規模別の分類を確認しておきましょう。

まずは大企業を主な対象とした都市銀行。かつては13行ありましたが、再編の結果、いまや5行(三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)のみです。つぎが、地方の有力企業を対象とした地方銀行で第一地銀と第二地銀に分かれます。3つ目が完全に地域密着型の信用金庫と信用組合です。

それぞれ顧客の事業規模に応じてすみわけができているので、自社の規模に応じて金融機関を選ぶことになります。例えば年商が3億円程度であれば、地元の信用金庫をメインバンクとし、融資に積極的な第二地銀や第一地銀をサブバンクとするなどです。

こうしておけば、1行取引とは違い、次の融資をどこから引き出すか、どうすれば有利な条件で引き出すことができるかなどの対策が打てることになります。ある程度、候補銀行を絞ったら、実際に取引している知り合いの経営者にいろいろと聞いてみることです。

実は、複数行との取引をお勧めする理由はほかにもあります。

金融再編の大波がまだまだ続くと予想される中、これからも多くの地銀、信金の合併が続くと思われます。もし、あなたの取引銀行が1行しかなく、その銀行が吸収される側だったら、あなたの会社に対する融資態度が大きく変わる可能性があります。そうしたリスクを避けるためも、複数の銀行と付き合うようにしましょう。