成功する社長の考え方とはどんなものか。社長にとって、融資を受ける銀行との付き合い方は悩みのタネだ。経営アドバイザーの三條慶八氏は、「中小企業と銀行は対等の関係ではないが、卑屈になる必要はない。銀行の習性を熟知すれば強い立場にたつことができる」と説く――。

※本稿は、三條慶八『儲かる会社に変わっていく社長の全テクニック』(KADOKAWA)の第4章「『資金繰り』『銀行交渉』を上手に回して会社を右肩上がりにする」の一部を再編集したものです。

銀行が中小企業の味方だと思ってはいけない

いくら借金があるからといって、社長は絶対に銀行の言いなりになってはいけません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Doucefleur)

これまでさまざまなところで何度も言いましたが、銀行はお金を貸してくれるからといって、中小企業の味方というわけではありません。

私が最もはがゆく感じることは、こうした現実を知りながら、借金の負い目からか、銀行の言いなりになってしまう社長さんが非常に多いということです。「いつも世話になっている銀行さんの意向だし、背に腹は代えられない」というので、言われたまま要求に従ってしまうと、後でたいへん悔やむことになります。

よくあるケースですが、月々の返済が滞ると必ずコスト削減を求めてきます。

「もうこれ以上は無理です。会社が潰れます」
「大変なのはわかりますが、お宅の売上規模ではもう少し経費を切り詰めていただかないと」

彼らにできることはコスト削減を要求することで、それを第一と考えています。しかも、苦しんでいる会社のためというより、資金を確実に回収するためです。彼らの最大の関心事項は、最悪の場合に自行がどれだけ損失を回避できるかです。得意先がどうなるかは二の次、極論すれば「知ったことではない」ということです。

理不尽な要求には毅然として立ち向かう

銀行員もサラリーマンです。出世のためには上司の意向に背くわけにはいきません。しかも銀行という大組織の一員として、銀行の利益に貢献するように厳しく求められています。そのため、理不尽なことと知りながら弱い立場の得意先を泣かせることがあるのです。

私も、理不尽な要求や悔しい思いをさせられたことが何度もありました。

ある時、私の知らない間に、父が自分の経営する会社への融資条件の変更と引き換えに私を連帯保証人にすることを容認してしまったことがあります。

そのために私は、非常につらい思いをする羽目になりました。あとで考えると、銀行側の要求は、敢然と拒否すべきであり、法令に照らしても当然の権利だったのです。以来、私は「守るべきものは自分で守るほかはない」と覚悟を決めて、銀行と交渉の席に着くようになりました。

中小企業の社長の多くは、金融の知識があまりなく、そのため銀行の不当不法な要求に対応できず、痛い目にあう方もいらっしゃいます。その時にどうやって対処したらいいかと伝授して助けてあげることも今の私の大切な仕事です。