医師国家試験をクリアしている人ならOKなのか

医師国家試験はマークシート方式で、コネは通用しない。ここ10年、医師国家試験の合格率は約90%だが、決して簡単な試験ではない。なかには「運転免許より簡単」などと断言する者がいるが、これは「F1ドライバーは事故ってばかりで運転が下手」級の暴論である。

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さらに現在では、5年生の臨床実習に入る前に、学力試験の「CBT(Computer-Based Testing)」と実技試験の「OSCE(Computer Objective Structured Clinical Examination))という共通進級試験に合格しなければいけない。このため4年生頃から、医大と国家試験予備校の「ダブルスクール」を行う学生も少なくない。

こうした関門をくぐり抜けて医師免許を手にした人材は「持続的な努力を惜しまない人材」とも言えるのだ。

チェックすべきは「出身医大」より「出身医局」

医師の能力を判断するうえで重要なのは、出身大学よりも出身医局である。

医局とは日本独自のシステムであり、医師免許取得後に就職し、10年程度勤務した大学病院や関連病院群のことを指す。「島根医科大学卒、順天堂大学整形外科学教室入局、○○総合病院、××スポーツ医療センター、△△記念病院を経て開業」という記載の場合には、「出身大学は島根医大」だが「出身医局は順天堂大整形外科」となる。

2004年に始まった「新研修医制度」以降に卒業した都市部の医師では、医局に属さないケースも増えているが、その場合でも研修先の病院名などを明記している。むしろ卒業医大の偏差値が立派でも、その後の研修先を明らかにしておらず、直前まで勤めていた病院がわからないという医師には注意が必要だろう。

代診医師も置かずに休む医師は人脈に難あり

権力構造を問題視されることが多いが、日本の「医局制度」には重要な機能がある。そのひとつが「代診」だ。医局には専門科が同じ医師が所属しているので、たとえば開業医の場合には「休暇・病気の代役」「重症患者の紹介」などを頼むことができる。

小規模なクリニックで曜日によっては違う医師が診療していることがあるが、大学医局に属している後輩医師が応援に来ていることが多いのだ。

また、クリニックの院長が大学病院で診療していることもある。「木曜日の午後は休診」などとあるのは、決してサボっているわけではなく、本人のスキル維持と後輩の指導のために、ほかの病院で勤務していることが多いのだ。

近所の大学医局と良好な関係を築いている医師は、とても“お買い得”である。特に外科系では顕著だ。逆に、「学会出張」などと称して、代診医師も置かずに休むことが多い医師は、対人関係や人脈に難がある可能性が高い。