また、スマホ世代はSNSを通じて小・中・高・大学の横のつながりは幅広いが、上下の人間関係のコミュニケーションに不得手な人も多く、先輩・上司などとの信頼関係を築くのに時間がかかるという。「最初はいろんな人や価値観を知りたいから多くの人と広くつながろうとするが、この人と合わないと思ったら簡単に切ってしまうのです」(谷出さん)

東京大学経済学部 杉原さん(仮名)

武石教授もそれに近い友人同士の微妙な距離感があるという。

「内定が出ても友人にそのことを言わないケースがあります。同じゼミの子が『彼女はリクルートスーツを着ていませんが、内定取れたんですか』と私に聞いてくる。普通であれば『内定取れて良かったね、どうすればいいのか教えて』という話になると思うのですが。その空気感は独特のものがあります」

たとえ友人でも微妙な距離感を維持しようとするセンシティブな感性を持つ。そんな彼女たちとどのように向き合えばよいのか。武石教授はこうアドバイスする。

「本来の人間関係をつくる努力を惜しまないことです。女性の上司や先輩が『私はきつい言い方をするけど、あなたのことを考えている』ということが伝わっていれば、部下もアドバイスを受け入れ、厳しさもこの人の個性なんだと理解してくれるでしょう。また、何か提案してきたときに、頭ごなしに『あなたぐらいのときは私もやらせてもらえなかった、10年早いわよ』と言うとモチベーションが下がってしまう。本当に10年早いのであれば、なぜ早いのかを説明しないと納得しないでしょう。ライフイベント前に重要な仕事を経験しておくと、育休復帰後の貢献意識が高くなりますから、前倒しで経験させることを検討すべきです。働きやすさ重視というのは、決して甘えているわけではなく、長く働き続けたいという意欲の裏返し。そう理解して、本人にとってポジティブなアドバイスをしてあげることが、信頼関係につながると思います」

入社後の定着を考えるなら、就活女子とのギャップを埋めつつ、彼女らが仕事に本気になれるよう導いていくマネジメントが欠かせない。