スカウトは、会社の中にもある
さらには社内異動を希望する、または受け入れることも「見直し」となります。同じ会社でも、部署によっては別会社のように雰囲気が異なる場合もあるので、どうしても部署内の人間関係に耐えられない、業務内容に不満を感じるときなどは、異動願いを出してみるのもいいでしょう。自分なりに日ごろから努力していれば、他部署から引き合いがあるかもしれません。つまり、スカウトは外の会社だけではなく、身近なところにもあるのです。
新たな可能性を模索するという視点では、兼業や副業を考えるのも悪くないですね。最近ではロート製薬が、副業を許可する、他部署での業務の掛け持ちを許可するという大きなトピックスがありました。特に副業公認の動きは話題を呼び、今後追随する企業が増えそうですが、現段階ではまだまだ少数派。だから、本格的な副業探しよりも、余った時間でできるお小遣い稼ぎから始めてみるのがおすすめです。
さらにはPC、スマホ、ファクスなどの機器があれば、全国どこにいてもできるテレワークも、今後可能性が大きくなりそう。親の介護や結婚などで、今いる場所を離れなければいけない……、そのときに現在の業務をどこにいてもできる状態にしておけるといいですよね。特に親の介護は誰もが直面する可能性があるので、テレワークができる環境にしておくことはとても重要です。まずは「あなたがいないと、この業務は進められない」という信頼関係を会社内に築くこと。今後2、3年ぐらいでテレワークに移行するような計画を立てておいても。
「普段はコツコツと活動をして、いざ事が起きたら柔軟に対応する」という心構えがあれば、どんな時代でもサバイブできます。今見えている世界だけで判断せず、先読みできるチカラを蓄えるためにも「見直し」が必要なのです。
テクノロジーの進化
AI(人工知能)、VR(バーチャルリアリティー)の導入で、我々人間の仕事の一部がこれらに代わっていくことで、労働の形態がどんどん変容していく。特に事務、肉体労働などの単純作業はオートメーション化される可能性が高い。
働き方改革
労働人口の著しい減少に伴い、育児中の女性や高齢者でも労働市場で活躍できる社会にしようというもの。長すぎる労働時間の短縮、正規社員と非正規社員との労働条件格差の是正、仕事と子育ての両立などを掲げている。
パラレルキャリア
多くの日本企業は本業以外の業務は認めていなかったが、兼業や副業OKの機運が高まっている。リストラ、企業が社員を定年まで面倒を見きれないリスク、定年後の収入ダウンなどに備え、本業以外の“食いぶち”を確保する必要も。
人生100年時代
日本人の平均寿命は今後も延び、“長すぎる老後”を迎えることが予想される。定年が延長され、年金支給開始年齢が引き上げられると60歳以降も働く可能性が高いが、賃金の上昇は望めそうもない。価値の高い働き手でいる必要あり。
キャリアカウンセラー
がんばれ工房主宰。1963年生まれ。86年コニカ(現コニカミノルタ)入社。退職後、人材紹介会社勤務を経て、人材開発協会認定キャリアカウンセラー、産業カウンセラーなどキャリアのホームドクターとして活動。
構成=東野りか 撮影=神ノ川智早、遠藤素子、加藤 梢、伊藤奈々子