日本企業が避けて通れない劇的な変化とは?

【酒井】一方で、いまは社外取締役に、かつての重鎮といいわれる方がかなり入られますよね。言葉が過ぎるかもしれませんが、企業にとって彼らが「老害」となることもあるのではないか、彼らの存在によってどこの企業も平準化してしまうのではないかという気もするのですが。

【大西】株の時価総額を見ると、アメリカではアップル、アマゾン、グーグルなどネット系企業がトップになり昔とは大きく変化していますが、日本はトップの顔ぶれがほとんど変わっていない。ただ、日本も今までのようなやり方ではこれからの世界の中では生き残れない。日本のような大企業のガバナンスや肩書きをベースにした企業の考え方もこれから大きく変わっていかざるをえない、と思います。

私たちの世代は、終身雇用で、ひとつの企業にいて、多くの人は係長、課長、部長と昇進していくことを目標にしていましたが、この仕組みは変えたほうがいいとは思います。理想は、トップに社長がいてあとはフラット、という組織でしょうか。それぞれの社員がワークショップを行い、そこで皆が自己実現をしていく、という形です。時間はかかるかもしれませんが、いずれ日本もそうなっていくのではないか、と思っています。

【酒井】大西さんには、経営者としての豊富なご経験を社会に還元する役割がありますね。

【大西】日本の過去のいい経営と変わっていく新しい経営のつなぎ手のような役割は果たしていきたいと考えています。加えて、産業の枠を越えた未知なるポテンシャルに挑戦していく、そんな仕事もしていけたらいいですね。

【酒井】今回は大変楽しくお話を聞かせていただきました。どうもありがとうございました。

【大西】こちらこそ、ありがとうございました。

(山田由佳=構成、黒坂明美=撮影)