会社からもらったチャンスを手放すな
リアーズを運営するのは営業推進部女性活躍企画グループだ。女性が女性らしく働ける営業組織には、16年4月からグループリーダーを務める鈴木里香さんの思いもたっぷり込められている。
鈴木さんが入社したのは1990年。短大卒で一般職として入社した。当時、女性は一般職、男性は総合職が当たり前。埼玉県内の8人ほどの支社で事務仕事に就いた鈴木さんは当初、長いキャリアを描いていなかった。
「仕事をするのは3年くらいかなと思い、入社したとき貯蓄型保険の積立期間を3年に決めました。でも更新、更新で今に(笑)」
鈴木さんは埼玉県内の2カ所の支社を経験した後、県内の支社を統括する地区業務部、埼玉・神奈川・千葉の3県の支社を統括する首都圏業務部、人事部、営業企画部、本店自動車営業部を経て、16年4月、新設の女性活躍企画グループに着任した。
「エリア職で私ほど異動している人間はいないのでは。でも1つの仕事に飽きそうになると職場が変わるのがよかったし、いろんな仕事の経験ができなかったら今の私はなかった」
異動しながら、事務一辺倒から営業推進や営業企画、業務職の教育など、仕事の領域を広げてきた。その中に大きな転機が3度あったという。最初は首都圏業務部で営業推進の仕事をしていたとき。営業や保険金支払いサービスなどさまざまな部門の人と一緒にプロジェクトチームを組んだ。
「違った意見や視点に触れられ、いろんな人と接することが大事なんだと思いました」
次は人事部で人材育成に携わっていたとき。社外の人材育成担当者が集まる会に参加し、2年間テーマを持って活動した。
「エリア職の私が外部のイベントに出席していいのか戸惑いました。でも、1歩外に出ると、相手にとって私は『損保ジャパン日本興亜から来ている鈴木』。エリア職であることは関係なかったんです」
そして営業企画部に移る直前。エリア職では当時少なかったマネジメント層となる業務課長を打診された。ちょうどダイバーシティ・マネジメントを支援するNPO法人の活動に参加していた。
「そのNPOの仲間に、マネジメント層に入る自信がなくて業務課長を見送ろうと思いますと話すと、すごく叱られました。『誰だって自信はないわよ。せっかく会社がチャンスを与えてくれたのに断ってどうするの』って」
3度の転機で視野が広がった。
業務課長になって本店自動車営業部に異動すると、従来、夜7時から始まった課の営業会議を夕方4時開始、あるいは翌日朝9時開始に改め、「変えようと思えば変えられる」と手ごたえをつかむ。そうした成功体験がリアーズを支えるうえで役立つ。
リアーズは2年目を迎え、メンバーたちの意識も高まっている。
「1年目は女性営業担当が活動しやすいように環境面を整えました。スマートフォンを配布し、移動中や外出先でもメールや通達文書が確認できるようにしたり、女性営業担当の悩み解決のため白書をつくったり。環境が整うと、今度は自分に何が足りないかに関心が移っています」
今、エリア社員に足りないのは、営業現場での経験のみだ。今できないことを1つずつクリアし、最終的には自分らしい営業を目指す。リアーズも進化している。