内心に訴えかけ、女性の可能性を開く
オーナー養成で重視するのは早さだけではない。人材開発部 オーナー・BD育成チームの吉田彗さんは、「自らオーナーになりたいと思う人が永続的に成長する」と言う。
ポーラはもう何十年もの間、月間で一定の業績を満たすBDを対象にオーナーのマインドを醸成する「ショップオーナー候補者研修」を開いてきた。一緒に働く仲間を増やす魅力を伝え、BDのリクルート方法のロールプレーイングを主軸に置いた研修だ。ところが実際にオーナーになるとモチベーションが下がる人がしばしば見受けられた。
「オーナーとBDは感情的なつながりが強く、オーナーやグランドオーナーから『あなたもオーナーになって』と言われ、研修を受け店長になったものの、気持ちが続かないことがあったのです」
周りから言われる外発的動機には限界がある。自らが店長になりたいと心底思う内発的動機こそが大切なのだ。そこで昨年から内発的動機を大切にする研修に切り替えた。対象者の参加資格も、ダブルワークではなくBDに専念しないとクリアできない条件に上げた。
「研修では外発的動機に訴えるメニューは外し、人として、女性としてのありたい姿を考えてもらうメニューを中心に据えました」
研修では3日間を使って自分と向き合い、「なりたい姿」をとことん考える。吉田さんたち研修スタッフは、キャリアビジョンを描く大切さは説いても、答えは示さない。
「3日間が終わってもモヤモヤしたまま帰る人が半分います(笑)」
それでも、旧研修を受けてオーナーになる人は4人に1人だったところ、新研修では2人に1人がオーナーになるというから効果は出ている。今期は182人が受講した。