女性の地位向上が、日本を元気にする

オーナー養成コースや刷新したオーナー候補者研修に思いのたけを込める人がいる。コースの創設を主導した取締役(トータルビューティー事業担当)の及川美紀さんだ。

(上)取締役 トータルビューティー事業担当 及川美紀さん、(下)代表取締役社長 横手喜一さん

「実力十分のBDに『オーナーやりませんか?』と言うと『私なんて無理です』と答える人が多い。女性ってそういうところがあるでしょ」

従来、BDは技術を高め、お客さまを増やし、さらに増やした先にオーナーがあった。だから今の仕事に精いっぱいのBDには、オーナーになるイメージがわかなかった。

「BDの中から優秀な人が出てきてオーナーになるという偶発的な育成ではなく、BDになるときにオーナーを視野に入れてBDの可能性を広げたいと思いました。お客さまが1人もいない段階からのオーナー養成コースです(笑)」

ただしBDの技量を極限まで高めたい人も大切にしたいから、「トップBD」の称号を設けて目指す道をつくった。

さらに、1人の女性が地域に影響を与えるリーダーとして成長できるようサポートする「女性起業家育成プログラム」を始めた。

「私は入社以来26年間、オーナーと付き合う中で本当にこの人たちはすごいなと思ってきました。BDに対して自分のノウハウを出し惜しみせず教えます。日々、ショップを切り盛りするだけでなく、5年後に組織をつくるような視点で働いてほしい。女性を引き上げるのは私の使命であり、ポーラの使命です」

近年、続々と生まれる優秀なグランドオーナーやオーナーはポーラ本社に大きな刺激を与えている。昨年、代表に就任した横手喜一社長は真っ先に1番大きな組織のグランドオーナーに会い、100人以上のオーナーをまとめるリーダーがどんな価値観で仕事に当たっているかを尋ねた。

「トップダウンや押し付けではなく、個性を引き出し、やる気をどう高め、やりがいをつくるかに心を砕いていました。そこにポーラという組織の可能性を感じました」

BDの世界は、昔の訪問販売スタイルの個人戦から、店舗で働く多様なメンバーの個性を活かす団体戦に変わっている。チームワークが良く一体感のある店舗はお客さまもその雰囲気を好ましく感じ、実際に業績が伸びている。

「本社のほうが大幅に遅れている。本社も硬直した縦社会から共創をベースにした組織に変わらなければ、市場の変化についていけません」