ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング 社長 ロッシェル・カップさんからの提言
▼社会全体の生産性を上げるため、流動性のある労働市場の実現を!
最近日本では「働き方改革」という名の下、残業削減への動きが目立ってきています。長時間労働は生産性向上を妨げるなど悪影響が多いので、政府側の積極的な取り締まりが重要です。
しかし労働時間を制限するだけで十分でしょうか。労働時間削減は良いとして、肝心なのは働いている時間に何をしているかということです。実際日本のビジネスでは、時間ばかり消費してそれに見合った対価を伴わないものが多いのです。根回し、報・連・相、多すぎる会議、多くの報告書や書類、手続きなど。「無駄」をなくすためにそれらが見直されるべきでしょう。
また多くの日本人の、仕事に対するモチベーションの低さも課題です。好きではない仕事をしている、また仕事が自分のスキルに合っていない人は事実少なくないので、その人に合った職務に配属させる「適材適所」のアプローチを行うことが望ましいでしょう。
それから良い職場環境づくりに取り組み、部下を励ますリーダーシップ能力を備えたマネジャーが必要となります。そのためマネジャーに適正なコミュニケーションスキルを身につけさせる教育プログラムも必要となります。従業員が熱意を持って働くことで、生産性が自然と上がるからです。
最後に、現在の日本の法的枠組みの中では、会社は生産能率の低い従業員を解雇することが難しい状況です。しかしこのような従業員を解雇して別の会社に移らせることは、会社と本人両方にとって良いはずです。会社がもっと自由にニーズに合った従業員を集め、そして各自が自分に合った職場に辿り着くようにすることで、社会全体の生産性を上げられます。そのために、もっと流動性のある労働市場実現に向けての政府の法整備を期待します。
撮影=市来朋久