実績を上げるだけでは不十分だった
高いモチベーションで日々の仕事に取り組み、自分なりに良い仕事ができていると思っていた。ところが昇進では、後輩の男性3人に立て続けに抜かれてしまう。
「悔しかったですね。自分に不足があるとは思えず、なんで? 女性だから? と」
しかし自分の思い違いだった。課長に昇進してみるとはっきりと見えた。経験の厚みが足りず、人脈のつくり方にも問題があった。
「私は今の成績を出すことばかり考えていました。でも組織は目の前の数字だけでなく、5年先、10年先を見ながらメンバーを育成する視点も必要なんです。加えて、関連部署に対して、自分の部署の思いを伝えるだけでうまく調整しているつもりになっていましたが、その深さが足りませんでした」
次席で8年足止めされたが、課長となり医療保険の支払い部署をつくる仕事を託されたとき、次席時代の失敗が生きてくる。
「このときはメンバーの採用から携わりました。そして一人一人の個性を見ながら、5年後、10年後を考えた育成ができました」
当時の部下から課長になる者が何人も出てきた。メンバーの成長を見るのが何よりの喜びだ。
Q. 好きなことば
成功の反対は失敗ではなく、やらないこと(佐々木則夫)
Q. ストレス発散
イクババ(2歳の孫育て)
Q. 趣味
旅行、美術館めぐり
Q. 愛読書
『「夢とビジョン」を語る技術』(野口吉昭著)
撮影=澁谷高晴