▼ポイント3:我流を卒業する

パワーポイントの時短につながる機能を使いこなせず、デザインやフォントの設定をひとつひとつ手作業で変えている人も多いのでは?

「特に勉強が必要なソフトではないため、なんとなく使い始める人が多い。我流で操作していると、結局、有効な機能を知らないまま必要以上に作業に時間がかかってしまいます。一度、機能を熟知したプロに教わることをお勧めします」

外資系企業で資料作成のいろはを叩き込まれたという山橋さん。「外資が求める資料はとにかくスマート。余計なものは一切なし」

最近はちょっとしたセミナーブーム。「私のようにマイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)の資格や、マイクロソフトから授与されたMVPを持つエキスパートのセミナーを受講したり、『ストアカ』など個人向けセミナーを提供するコンテンツから講座を吟味して学ぶのも手。オンライン動画学習サイト『リンダドットコム』などのeラーニングや、無料動画サイトにも基本操作がアップされているので、それらを利用するのも良いですね」

ただし、資料作成においては、スキーム図が多数紹介されるような書籍で学ぶことは勧めないと山橋さん。「本や参考書を読んでも、そのとき自分が伝えたい内容を伝えるためにどの図が最適か判断が難しいことも。社内外の良い資料のサンプルにたくさん目を通して、“これを伝えたいときにはこの手法が有効”というように、自分の中に選択肢をストックしていくことが資料をワンランクアップさせる秘訣です」

▼ポイント4:文章を簡潔にまとめる

山橋さんが「簡単ではないが大事」なポイントとして挙げたのは、文章を簡潔にまとめること。「わかりにくい資料の特徴は、文章が説明的になっていること。説明するためにどうしても文章は長くなりがちです。資料にのせるのは要点やキーワードのみに絞り、相手が早く理解できることが重要です」

フォントにこだわる人もいるが、「見やすければ好みでいいんです」ときっぱり。「違うと思えば、あとで『フォントの置換』を使って一発で変換すればよいのです」

文章作成の段階では、「最初につくった骨子にそって、キーワードを“のせていく”感じでよい」と山橋さん。「また、一瞬で理解できる文字数には限りがあるので、1行が長くなりそうなら2行に分けたほうが伝わりやすいです」

スライドの展開にメリハリをつけるのも大切。「説明のページが続いたら、ところどころにまとめのページを入れて念押しするのも効果的」

文章で注意したいのは、社外用や他業界の人に対してプレゼンするときの資料。「ワードひとつにしても、それが一般的に認識されている言葉かどうかを考えることが重要です。社内や業界内だけで通じる言葉の場合があり、業界外だと違うとらえ方をすることや、知られていないことも。資料を作成するときは、社内用か社外用か、または業界向けかそうでないかを意識してください」

山橋美穂
プレゼンテーション資料作成コンサルタント。大学在学中より日興シティグループ証券のプレゼンテーション資料作成チームに就業。身につけたスキルを活かして企業で経験を積み、フリーランスに転向。2015年、日本で6人目のMicrosoft MVP(PowerPoint部門)受賞。

撮影=澁谷高晴