第一線で活躍中の女性管理職のみなさんにお話を聞く、人気連載「女性管理職の七転び八起き」第12回。今回取材したのは「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」の総支配人・永田淑子さん。「自信がない」という理由から昇進を断る女性も少なくないが、永田さんは総支配人になった今でも「自信がない」と言う。そんな永田さんが、日々現場でかかさずに行っていることとは——。

祖母の介護をしたくて、東京から山梨へ

星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳の総支配人・永田淑子さん

南アルプスや富士山を望み、豊かな自然を抱く八ヶ岳山麓に拡がる「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」。イタリアの建築家が手がけた街並みには石畳の通りがあり、レストランやカフェ、ワインハウスも並ぶ。日本有数のブドウ産地として知られる山梨と長野のワインを楽しめる「ワインリゾート」でもある。

このホテルの総支配人を務めるのは永田淑子さん。総支配人とは宿泊や料飲などすべての部門を統括し、経営からサービス向上まで管理する最高責任者だ。女性が多く活躍するホテル業界でも、トップまで昇進するのは希少な存在だろう。さぞや生え抜きで順風満帆に来た人かと思うが、その職歴は異色だった。

もともと新卒で東京・六本木の都市開発を手がける会社にSEとして入社。その後、20代半ばで郷里の山梨へ戻ったのは、老いた祖母を介護したかったのだと振り返る。

「生まれたときから一緒に暮らしていた祖母と過ごす時間をつくりたいと思ったんです。後悔はしたくなかったので」と永田さん。