不倫の真偽のほどはわからないが、少なくとも松居はそう信じ込んでいる。船越が家にいれば四六時中怒鳴ったり引っかいたりできるのに、帰ってこないから仕方なく、動画やSNSを駆使して“劇場型”夫婦喧嘩をしているのである。
船越の弁護士から、お前のやっていることはプライバシー侵害の恐れがあるといわれても、松居は聞く耳を持たない。
「不倫は文化だ」といった石田純一
船越の俳優としてのイメージダウンは甚だしいものがある。
「不倫は文化だ」といったのは石田純一である。不倫が発覚した時、報道陣に対して彼が口にしたフレーズを、スポーツ紙の記者が切り取ったのだそうだ。石田は、この言葉だけでこれからも食っていける。不倫で男を上げた数少ないケースであろう。
昨今、不倫は文化ではなくブームである。週刊誌に不倫の記事が載らない週はほとんどない。その結果、メディアがこぞって押しかけ、世間様に謝罪せよとしつこく迫る。
まるで「不倫ショー」とでもいいたくなる光景が毎週テレビから流れ、茶の間の有閑おばちゃんたちの無聊(ぶりょう)を慰める。
昨年から思いつくままに挙げてみても、人気タレント・ベッキーを両親に引き合わせた「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音。
妻の妊娠中に自宅に女性を引き込んだ元衆院議員の宮崎謙介。『五体不満足』の著者で身体障碍者の星であった乙武洋匡の「5人不倫」。
妻・高島礼子の夫・高知東生の不倫&覚せい剤所持。大阪の落語界の大物・桂文枝の長年不倫など枚挙にいとまがない。
亭主の不倫で女を上げた三田寛子
不倫の代償は大きかった。ベッキーはレギュラー番組を失い、宮崎は議員辞職。高知は妻から三下り半、桂は涙の謝罪会見、そして乙武は、報道直後、妻からも「一緒にやっていく」というメッセージを出させたが、結局、離婚され子供も失ってしまった。
不倫発覚で男を上げることは難しい。唯一あるとすれば、「王位をかけた恋」と今でもうたわれるイギリスのエドワード8世であろう。
アメリカ人の人妻・シンプソンを見初め、国王の座を捨てて一緒になった世紀の恋は、いまだに語り継がれている。
だが、亭主の不倫で女を上げた妻のケースはたくさんある。昨年、祇園の人気芸妓と割りない仲になった歌舞伎の中村橋之助の女房・三田寛子もその一人だ。
橋之助は報道陣にひたすら低頭平身して「私の不徳の致すところ」と7回も繰り返した。だが、三田は毅然として、「ここからが彼の男として人としての見せ所になると肝に銘じ、自分の軽率な行動を胸に秘めて、中村芝翫を継ぐべく人間として頑張ると申しております」と報道陣に話し、さすが梨園の妻だと絶賛された。
女好きのダメ亭主をダウン寸前で救ったのがヒラリー・クリントンである。亭主で大統領のビル・クリントンがオーバル・オフィスでモニカ・ルインスキーとオーラルセックスをしていたことが発覚し、不適切な関係で弾劾を受けた時、ヒラリーはいつもと同じようにビルと呼び、仲の良さを装い、かろうじて亭主は弾劾を免れた。