組織図(図参照)からもわかるように、ウィメンズ・ネットワークには、2人のジャパンリーダーと並んで「WN Japan Champions」と呼ばれる経営陣が参画している。ここに並ぶビジネスリーダーたちは、活動のサポートのみならず、座談会の講師やアドバイザーを務めるなど、積極的に関わっている。
1997年に「ウィメンズ・ネットワーク」発足 ▼女性社員は、全員がメンバーに!
女性社員は全員、自動的にメンバーとなる。より活動に参加しやすい環境にすべく、所属部署のリーダーによる声がけや、活動時間の配慮など、マネジメント側の理解も大切なポイント。
▼予算も独立採算。自分たちで経営する
イベント費や講師への謝礼など、気持ちよく活動をするためにも予算確保と管理は重要。年初に年間計画と予算案を提出し、社長室の予算が割り当てられる。
(実施イベント例)GEリーダーとのラウンドテーブル/営業系女性のための異業種キャリアアッププログラム/座談会 女性の健康/認知症サポーター出前講座/Men cook for Womenなど
実際の活動は年度ごとにテーマを絞り、そのテーマの課題解決にフォーカスしたアクションを実施する。
2016年度注力しているテーマは、コマーシャルウィメンとウィメン&テクノロジー。前者は営業系の女性をいかに支援するかがテーマで、後者は技術系の女性たちのキャリア形成がテーマとなっている。具体的には、GEのなかで異なる営業の役職に就く女性たちがつながり合う機会やクライアントとの交流の場を設けたり、キャリアを積んだ女性技術職社員や研究所の技術者たちと遠隔会議などを実施したりしているという。
アフィニティに参加してリーダーシップを磨く
ウィメンズ・ネットワークは決して女性だけの組織ではない。男性社員による「Men in Women」というグループも精力的に活動している。例えば男性社員が女性社員のために料理をする「Men cook for Women」といったイベントや、起業家を招いての講演会、クライアントや男性中間管理職との座談会などを実施した。
GEエナジー・ジャパンの羽場俊輔さんも、アフィニティネットワーク活動をするひとり。
「社内組織が縦割りになるなか、こういった活動をすることで横につなげることができるんです。そうすると風通しがよくなりますし、大義名分が仕事に直結したりします。やらないのはもったいないですよね。引き受けることがベネフィット(利益)になると思うんです」(羽場さん)
「アフィニティグループのリーダーを務めることは、リーダーシップトレーニングにもつながるんです」と話す浅井さん。トップがコミットしていないと、現場がついてこないということはもちろんだが、自分に自信が持てないようなおとなしいタイプの社員が、アフィニティの活動を経験することで、徐々に自信が持てるようになり、リーダーシップが伸びていることを実感する、と浅井さんは言う。
社員一人一人が社会や会社、そして自分自身の課題を意識し、課題解決に向け取り組んでいくことにこそ、ダイバーシティ施策の本質的な意義があるのではないだろうか。
▼経営に働きかけるネットワークが会社を活性化
●ウィメンズ・ネットワーク
プロフェッショナルな女性社員の成長を促すため、各種セミナーやイベントを開催。男性社員との相互理解などにも取り組む。
●バリアフリー・ネットワーク
「障がい」について学び「心のバリアフリー」の実現を目指し発足。手話・点字講座・聴導犬協会のサポートなどを実施。
●GEボランティア
小学生対象の体験型プログラム「地域に役立つ発明家になろう!」プロジェクトの提供など、多彩なイベントを企画・運営。
●ヘルスアヘッド
運動イベント、アンガーマネジメント講座、禁煙サポートなど、社員の健康推進のためのイベントやプログラム開発を行う。
●GLBTA
LGBT(性的マイノリティ)の当事者と、彼・彼女たちを支援している社員によるグローバルコミュニティ。
撮影=冨田寿一郎