取得にうしろめたさ。「育休」の名前を変えるべき

2日目の14日は、「STEM(科学・技術・工学・数学)分野における女性の人材育成・活躍推進」「平和・安全保障における女性の参画とエンパワーメント」などの5つのテーマに分かれて、ハイレベル・ラウンドテーブルが行われた。

国や立場、性別の異なる有識者がそろって意見交換。各界のリーダーたちの生の声が聞けるとあって、一般参加者は立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。

「ワークライフ・マネジメント2.0」では、ウガンダ、スウェーデン、アメリカ、日本などで企業経営や政治に携わる男女15人が、柔軟な働き方を促進するうえでの課題や、克服するための方策などについて意見を交換した。

参加者の一人、イー・ウーマン社長の佐々木かをりさんは「育児“休業”という呼び名が良くない。周囲に休息をとっているような印象を与え、取得にうしろめたさを感じてしまう」と指摘。女性はもちろん、男性にとっても取得の壁となっているとの考えを述べた。育休は、地域社会への貢献について学んだり、社会的弱者への配慮について思索を深めたりする機会になるため、「たとえば『ダイバーシティ研修』など、別の名称にしては」と発言した。

約3時間にわたったハイレベル・ラウンドテーブルでは、それぞれのグループで意見交換を行った後、提案をまとめ、この日最後のプログラム、クロージング・セッションで発表した。その一つ、「女性のリーダーシップの推進」のグループでは、組織が女性の活躍推進に透明性を持ってコミットする、企業経営を担う女性のロールモデルを発掘する、管理職・役員候補者の女性を増やすための研修プログラムを提供する、などの取り組みを提案した。

日本も頑張っているけれど他国はもっと頑張っている

世界経済フォーラムの16年版男女格差(ジェンダーギャップ)指数で、日本は対象144カ国のうち111位と、前年に比べて10も順位を落として過去最低となっている。小池都知事が初日のスピーチで指摘した通り、「日本も頑張ってはいるが、他の国はもっと頑張っている」ということなのだろう。

会場では、15年のWAW!での議論や提言が、どのように16年の日本政府の取り組みに反映されたかをまとめた文書が配布されていた。WAW!が今後さらに、日本政府のコミットメントを示すだけでなく、具体的な施策の進捗や効果を確認するイベントとなることを期待したい。

よねくらりょう=撮影