消したい情報はこうやって消す!

【福山】根も葉もないデマのときは、あえて放っておくこともありません? うちのお店のトイレで自殺した人がいるってデマが流れたことがあるんだけど、その程度で訂正のリリースを出すのはかえって怪しまれるじゃないですか。

【横山】その程度なら静観するかな。でもいまの時代、悪い情報が拡散するのはすごく速いじゃない? だから何か火の手が上がったな、と思ったら、それを打ち消すような大きなプロジェクトを急いでつくって大々的に発表するようにしてる。そうすると社名で検索したとき、いいニュースのほうが上位に表示されるようになるでしょう。

【小谷】そうか、いいニュースで上書きするのね。火の手が上がったということを、どうやって知るの?

【横山】ネットでどんなふうに話題にされているかを自動でモニタリングしているんですよ。いいニュースが多いと笑顔、悪いニュースのほうが多いと悲しそうな顔が表示されるんですが、悲しい顔が一定のレベルを超えたら緊急事態だから、急いで原因追究。それからタレントさんを起用するなどしてニュースを無理やりつくる。でもニュースを拡散するのはかなり地味で根気のいる作業。「こんなことをするために会社に入ったわけじゃないのに」と思うことも、正直言ってありますね。

広報女子はストレスをためている

【鈴鹿】広報の仕事をしていて、ストレスを感じるのはどんなとき?

【小谷】テレビの取材で半年くらい追い回されているのに、いつ放送になるのか、そもそも放送されるのかも不明なの。

【福山】ああ、わかる。テレビってすごく長くカメラを回したのに、映ったのはほんの一瞬なんてザラだもんね。

【横山】取材されることの多い社長クラスはそういうものだとわかっているけれど、そうじゃない人は田舎のお父さんやお母さんに「今度テレビに出るよ!」って予告するじゃない。でも実際に使われたのは10秒、なんていうときは申し訳なくて……。かといってメディアの人たちとはいい関係を保ちたい。だから常に社内と社外の板挟み。

【井田】うちは広報の重要性が理解されていないから、協力を得るのに無駄なエネルギーを費やすのが腹立たしいわ。

【福山】「そんなこと業績に直結しないじゃん」みたいに言われると辛いよね。

【横山】社外の人と会うことも多いせいか、華やかな部署だと勘違いされている。「いいよね、広報は楽しそうで」って。本当は汚れ仕事も多いのにさ。

【小谷】私は会社の方針が明確じゃないときにストレスを感じるなあ。

【横山】「これをやります」と発表したあとで「やっぱりやめた」とかね。若いときはそのたびに振り回されて、意味のない落ち込みをしていたけど、最近は“経営方針は水もの”と思えるようになってきた。いまは忙しすぎて彼氏ができないことのほうが深刻(笑)。