今年はノロウイルスの大流行年?

ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が大流行の兆しを見せている。毎年12月~2月に流行のピークを迎えるが、今年は大流行した2006年、2012年に次ぐ勢いで感染が広がっている。

ノロウイルスは、強い腹痛や吐き気、激しい下痢などの症状を引き起こす。しかし急いで医者に行ってもノロウイルスが原因かどうかははっきりしないことが多い。診断キットがあるものの、精度が低く(50~60%程度)、検査を薦める医師も少ないからだ。病院で医師から「たぶんノロでしょうね」などと言われるのは、そのためだ。

有効な抗ウイルス剤がない

しかも、仮にノロウイルスだとわかったところで、現在はノロウイルスに有効な抗ウイルス剤がないため、結局は安静にするなど、対症療法で治るのを待つしかない。仕事があるから下痢の症状だけでも止めようと、強い下痢止め剤を服用すると、場合によっては「ウイルスが腸管内に溜まり、回復を遅らせることもあります」(産業医の増田隆夫医師)。

加えて注意したいのは、ノロウイルスは感染力が非常に強く、無理に仕事を続けたりすると、周囲にも迷惑をかける可能性があるということだ。「ノロウイルスは乾燥や熱にも強いうえ、自然環境化でも長期生存が可能です。しかも、下痢の症状が治まった後も、2~3日は感染期間が続きます」(同)。ノロウイルスは咳などで空気感染する可能性は低いものの、吐瀉物や下痢便には大量のノロウイルスが含まれているため、トイレなどを通じて感染する可能性がある。