新規事業に乗り出すテレビ各社

携帯3社の熾烈な競争続く。不動産ファンドは業績大幅悪化
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携帯3社の熾烈な競争続く。不動産ファンドは業績大幅悪化

テレビ各社は景気低迷に伴う広告減の影響で業績が悪化。2009年3月期決算は朝日放送、テレビ東京が赤字決算見込みをはじめ、各社そろって大幅減益を迫られている。

日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京の4社が役員報酬のカットを実施。ライブドアからの和解金を特別利益として計上する旧フジテレビも役員賞与の3割カットを実施するなど、台所事情の厳しさはライバル他社と変わりはない。

ところが、社員の給与にまではメスが入っていないのも実情で、「テレビ業界=高給」の構図は変わっていない。番組製作料の圧縮という形で下請け製作会社にしわ寄せされている側面も見逃せない。

頭抜けた高給ぶりを見せつけたテレビ業界だが、大手企業のスポット広告削減などでテレビ業界全体の営業収入は過去最大の落ち込み。3年連続の減収は必至で、テレビCMの市場縮小は構造的な変化ともいえる。フジがブライダル、TBSが小売業、日テレがネット商店街などCM以外の新規事業に乗り出しているが、その成否は未知数。長らく続いた高賃金体制にほころびの兆しが見えてきた、と言い切るのは尚早だろうか。

携帯3社の動向を見ると、「iPhone」がヒットしたソフトバンクが新規契約数でトップの座を占めており、その一方でKDDIのauが苦戦。市場の飽和化が一段と進む中、06年10月のナンバーポータビリティ導入後の乗り換え促進に向けた競争が熾烈さを増している。

電力業界は大口電力需要が鉄鋼業界向けなどを中心に落ち込み、20年ぶりの低水準に低下。その一方で、上期の業績の足を引っ張った原油高が解消した効果で、電力各社はそろって業績が改善傾向にある。東京電力の場合は、前期の大幅営業赤字から黒字転換の見通しだ。

不動産ファンド大手のダヴィンチHDは昨年来深刻化した不動産不況の直撃を受け、08年12月期業績実績は最終赤字に転落。ケネディクス、セキュアード・C・Jも同様で、業績悪化により給与水準が切り下がる可能性が否めない。

※年収はいずれもユーレット(http://www.ullet.com/)のデータをもとに作成。純利益予想は3月25日時点の決算短信、業績予想の修正より。

(ライヴ・アート=図版作成)