証券会社に勤務していたころ、「なぜか投資家はみんな似たような失敗をする」と気づいた経済コラムニストの大江さん。その謎が解けたきっかけは、「行動経済学」という学問に出合ったことでした。私たちが投資や資産運用において間違いを犯してしまうことには、ちゃんと理由があったのです。果たしてそれは、一体どんなことでしょうか。
「定期預金がインフレに対応できない」は大間違い
銀行預金にまつわる勘違いもあります。資産運用を勧めるセールストークのフレーズに、「預金なんかしてたらインフレになったとき目減りしますよ。だから株や投資信託で運用しましょう」というものがあります。ところが実際には定期預金がインフレに対応できないというのは大間違い。
アメリカのイボットソン・アソシエイツという会社の日本法人が発表した、こんなデータがあります。1951年に銀行の1年定期で100円を預けたところ、2015年には1107円にまで増えていました。一方、1951年の消費者物価指数を100とすれば2015年は684です。つまり基本的にインフレだったにもかかわらず、銀行預金は目減りなどしていなかったのです。
日本はデフレの時代が長く続きましたが、これからアベノミクスで物価上昇率が2%というインフレ傾向になるかもしれません。そうなったらおそらく、「銀行預金はインフレに弱い」ということが盛んに言われるでしょうがインフレになれば銀行預金の金利も上がるでしょう。あまりこの手の話に惑わされないほうがいいでしょう。
タイムリーな話だと、マイナス金利によって住宅ローン金利も下がるので、住宅にかかわる営業が増えてくるでしょう。しかし、金利は下がっても、そもそも不動産価格がこの数年でかなり上昇したことを考えると、注意が必要です。