「CRMを手放すな」から生まれた覚悟

原田博植(はらだ・ひろうえ)さん。株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 アナリスト。人材事業、販促事業、EC事業にてデータベース改良とアルゴリズム開発を歴任。2015年データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー受賞。

【原田】ご自身のコミュニケーションを非常によくコントロールされていますが、それを一般化して引き継ぐことは難しそうですね。部下の育成で意識されていることは?

【安藤】ベースは教えるものの、必要以上に手取り足取りは教えないですね。自由にやってもらっています。私も、前の会社の上司に「自分でできるようにならないと、成長しないから」と言われ、必要以上に手を出さないスタイルでしっかり育成してもらえました。おかげで自立して仕事ができるようになったと思っています。

【原田】すばらしい。そのような尊敬できる上司に出会えてよかったですね。

【安藤】昔、「自分にはスキルがない」と悩んだことがありました。これからどうやってキャリアを築くべきか迷っていたときに、その上司から「CRMを手放しちゃいけない」と言われたんです。当時の私は、CRMはあまり好きではありませんでした。CRMの前は販売促進を担当していたのですが、そちらの方が、キャンペーンやプロモーションなど、やることも華やかですし、対象にする層が広いのでリアクションも大きい。それに比べるとCRMは地味ですから。でも、「CRMを手放すな」と言ってもらえたことに、今はとても感謝しています。私はCRMしかできないし、CRMこそが私のやりたい仕事です。CRMにおける専門的な知識・スキルを持っていると自負しています。

【原田】もともとデータの分析などは得意だったのですか?

【安藤】いえまったく! 大学も文系で、数字は苦手でしたので、最初は大変でした。5年くらい前のことですが、前職で、CRMのデータ分析を担当することになったときに、3カ月くらい週1回毎回5時間、データ分析のトレーニングを受けました。当時の会社から5人で参加していたのですが、一番パソコンが苦手で数字にも弱いのが私でした。とにかく行きたくなくて、つらかったです。