異分子が配属されてきたら、どう接するべき?

さて、皆さんの元に配属された若手社員がその異分子だった場合、どう接するべきか? という冒頭の話題に戻ります。

今までだと、新入社員への接し方は画一的で、それぞれの企業の「ウチの人間はかくあるべし」というものを骨の髄まで染み込ませるような接し方をすれば済んでいました。「常識的には」とか、「普通は」とか、はたまた「ウチではこうだ」という、あるべき姿や考え方、仕事への姿勢や価値観などを徹底的に叩き込み、それに合わせるのが当たり前だという接し方をしてきたはずです。文頭で「今までだと」と書きましたが、今もほとんどの組織はこういうスタイルでしょう。

しかし残念ながら、これでは組織から心が離れてしまう人も少なくありません。若手の立場にしてみれば、今までの常識を打ち破れと言われているにもかかわらず、実際には「常識が」「普通が」「一般的には」と押し付けられるのでは、「話が違う!」と思うのも無理はありません。

こういう話を書くと「まずは、与えられた仕事が一人前にできるようになってから、そういう文句は言うものだ」と怒りだす人もいるのですが、結果的に仕事ができたとしても、組織の中で明らかに異質な人の評価はそれほど高くならないのが現実。「彼は仕事ができるけど、それだけだ」と言われるのがオチです。

企業が高い費用をかけて採用した人材をうまく使いこなし、成長させるのが皆さんのような現場の責任者の腕の見せ所であり、ある種のミッションであるはずです。ここは面倒かもしれませんが、一人一人の個性を細かくみて、それに合うような(といっても2種類しかありません)接し方をすべきだと、私は考えています。

「色眼鏡」を外し、その人の良さを見るとこから始めてみる

まずは、“その人の良さ”だけを見るところから始めてみましょう。組織の中で働くことに慣れてしまうと、組織にアジャストしており、その歯車として機能しているという前提に対して評価しがちです。純粋にその従業員を個人として見ることができなくなってしまう可能性が大きいのです。そこからずれることによって生じてしまう“色眼鏡”を外すところから始めるのが重要です。

個人を丁寧に見ると、その人たちの個性が際立ってくるはずです。例えば「協調性は感じられるけれども、仕事に対する姿勢は消極的」とか、「仕事に対する一定のパフォーマンスは出すけれども、周囲への気配りが足りない」とか。そういう部分がくっきりと浮かび上がってくるはずです。

それを組織にアジャストする方向で修正するのではなく、あえて、個性を生かしたまま成長に導いていく、そのために、マネジメントを担当する皆さんができることを考えることが重要になってきます。粒を揃えて、同じような顔の同じような考え方をした、同じような能力の持ち主を大量に作りたいと、企業は考えているわけではありませんから。しかし、組織という大きな枠にとらわれてしまうと、結果として、そういう人材を再生産してしまうのです。