リモートワークが普及してくると、空気を読んで忖度したり、空気で伝えたりすることが一気に困難になります。これまでかろうじて日本で機能してきた“テレパシーマネジメント”が通用しない。そんなアフターコロナ時代に、マネジメントスタイルや人材育成、人事評価の在り方はどう変わっていくのでしょうか。

世界の摩訶不思議、日本のテレパシーマネジメント

新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がテレワークを導入するようになりました。テレワークは感染予防だけでなく働き方改革にもつながるので、緊急事態宣言解除後も何らかの形で継続されていくでしょう。

あしたのチーム 高橋恭介社長
あしたのチーム 高橋恭介社長

毎日出社しない働き方が一般化する中で浮かび上がってきたものがあります。それは“テレパシーマネジメント”の限界です。日本の職場では、上司が明確な指示を出さなくても部下が忖度して動くことが求められます。テレワーク時代は、そうしたマネジメント手法が通用しなくなるのです。

テレパシーマネジメントは、主に海外の日系現地法人で働く現地採用の社員の間で使われ始めた言葉です。中国なら総務経理、シンガポールや香港ではMD(マネージングディレクター)は日本本社からやってきますが、彼らは「みなまで言わせるな。あ・うんの呼吸でわかるだろう」とばかりに曖昧な指示に終始します。よくあるのが、「あれ、やっといて」。「あれ」が何を指すのか明示しないままに指示を終えるので、現地社員は頭を抱えるわけです。

世界では摩訶不思議と思われているテレパシーマネジメントも、空気を読む文化である日本ではそれなりに機能していました。たとえば部下に反省を促したいときに、言葉でそう伝えるのでなく、声色や表情など五感を通して伝えようとする上司は珍しくありません。たしかにオフラインではノンヴァーバルなコミュニケーションが効果を発揮することがあります。しかし、オンラインではノンヴァーバルな情報がそぎ落とされます。それに気づかずに従来通りの手法でやっていたら、部下を戸惑わせるだけです。