ワークライフバランスの鍵は、パートナーとの協力関係

「ポンピドゥー・センター傑作展」監修に携わりながら、現職である国立ピカソ美術館に移籍し、出産と職場復帰を果たしたガルニエさん。公私ともに順風満帆に見えるが、先進国で出生率が上昇しているフランスでも、子育てをしながら働く女性の環境は厳しいと言う。

大きなプロジェクトはチームワークで乗り切る。「チームの力が遺憾なく発揮されれば、企画に奥行きが出て豊かになります」

「フランスの働く女性の環境は、日本よりはかなり恵まれていると思いますが、やはり男女の間での格差は存在します。フランスの平均的な男女間での賃金格差は約15%、という数字が出ています。フランスといえども、女性は男性ほど積極的に給与の交渉をしない傾向にあります。女性が現状を受け入れてしまっているんです。

そのためカップルに子供ができたら、女性が子育てのために仕事やキャリアを諦める場合が多いのも確かです。年収の高い男性が働き続けるほうが家計にはいいですからね。

私の場合は平等に家事分担をするなど、パートナーの理解と全面的な協力があるので両立できていますが、私もそのための努力は常に欠かしません。双方が中途半端になるのはよくないので、仕事中は極力集中して業務を効率的に進め、家庭では気持ちを切り替えて、子どもやパートナーとの時間に専念するようにしています」

仕事に全力で取り組み、生活を楽しむことも忘れないガルニエさん。常に前向きに、自分のビジョンをしっかりと持ち続けるモチベーションの源はなんだろう?

「この仕事の醍醐味は、美しいものを皆さんと共有できること。大規模な展覧会の場合はたくさんの人が関わるのでチームワークが大切です。それゆえの苦労もありますが、チームで動くと企画そのものに豊かさが生まれてくるのでとてもやりがいを感じます。今後も挑戦したいことがたくさんあります。

一方で家族は私にとってとても大切な存在。母となった今、『文化を共有する』ことの大切さをあらためて実感しています。なぜならそれが子どもたちのよき未来につながりますから」

これからの自身のワークライフバランスに話が及ぶと、ガルニエさんはフランス人女性らしくこう答えてくれた。

「子どもが小さいので、日常の生活はバランスをとるのが大変です。両立に困難を感じたときは哲学的に考えるようにしています。仕事をするということにどういう意味があるのか、子どもを持つことにはどういう意味があるのか――。私は両立を選んだのです。働いて自分を磨き続けた先に、新たな道が開けると信じています」

クレール・ガルニエさんが監修者の1人として携わった「ポンピドゥー・センター傑作展」は2016年6月11日から9月22日まで、東京・上野の東京都美術館で開催される。
プレジデント ウーマン・オンラインでは、この展覧会の鑑賞チケットを5組10名様にプレゼント。詳細・応募はボタンから。(応募締切:2016年5月31日(火)15:00)

※プレゼント応募期間は終了いたしました。たくさんのご登録ありがとうございました。

撮影=石井雄司