仕事と子育ての両立を視野に、キャリアをイメージ

働き始めた時から、仕事と子育ての両立も視野に実績を重ねたガルニエさん。

「大学では当初、文化・メディアマネージメントを学んでいましたが、もっと美術に直接携わりたい気持ちが強くなり、現代美術と展覧会について学ぶため、在学中に専攻を変えました。卒業後は、仕事もプライベートも両立して自分らしく生きたいと考えて、ポンピドゥー・センターで働き始めました。文化的な仕事に就くことは、私の人生の目標だったのです。新人時代から、仕事上のキャリアと同時に、結婚や出産、子育てなども視野に入れながら働いていたので、子育てと仕事を両立する立場となった今も、迷いなく過ごすことができています」

若い時から明確なビジョンを意識して実行してきたガルニエさん。妥協せず、常に目標に向かって努力を重ね、アシスタント時代から着実に仕事のスキルを身につけた結果、上司からの信頼を得て、大きなプロジェクトに携わるチャンスをつかんできた。今回の「ポンピドゥー・センター傑作展」も、その1つだ。

「今回の展覧会は、4年の準備期間を要しました。美術史上だけでなく、世界の文化や社会全体に大きな影響を与えたフランス20世紀美術を紹介する本展に立ち上げから関わり、その成果を皆さんと分かち合えることはとても幸せです。

生涯にわたってパリの象徴、エッフェル塔を描き続けた、キュビズムの名匠、ロベール・ドローネーの作品「エッフェル塔」/1926/Photo: (c)Bertrand Prevost - Centre Pompidou, MNAM-CCI

ポンピドゥー・センターの収蔵品は、絵画、彫刻、写真、映像、デザイン、建築など多岐にわたります。今回の展覧会では、この膨大なコレクションの中から、フランスに縁のある作家、もしくはフランスで制作された作品を1900年代初頭から70年代まで、1年ごとに1作家の1作品を選びました。

このような展覧会の形式は、とてもユニークです。特に本展では、日本初公開になるピカソの代表作の『ミューズ』や、シャガールが妻との愛を描いた大作『ワイングラスを掲げる二人の肖像』、マティスの代表的な油絵『大きな赤い室内』といった20世紀を代表する巨匠の作品をはじめ、ロベール・ドローネー、カルティエ=ブレッソン、マルセル・デュシャンなど、現代美術を語る上で欠かすことのできない作家の作品も登場します」と、大好きなアートについて語る時のガルニエさんの表情は、ひときわ輝きを増す。