異なる「女の道」を統べるための通過儀礼

ダイバーシティでごまかすなとの声に、そうだ日本の女の中には衝突が足りていないと思った。ダイバーシティとは、その語が社会的に認知されるに至った背景からして、差別や諍いや摩擦の歴史を経たところにある。日本の女は「共感仲良し」の習慣に囚(とら)われて、自分たちの中で陰口を散々たたいても、真正面の衝突を避けてきた。それは、もしかすると思想史的には“対男性の弱者連合という戦線を張ることで、連帯する必要があったから”……ということなのかもしれないけれど。

でもそろそろ、日本の女が(引き金が国連勧告だろうが政治であろうが)本気になって“女性(がまともに)活躍(できる仕組み)”を志し、「男性主導の枠組みの隙間に身を置かせてもらうのではない人生を」と思うのなら、一度、女同士の壮絶なキャットファイトを起こして毒出しをするべきなのかもしれない。「甘えてんじゃないわよ!」「粋がってんじゃないわよ!」「あれこれ理由を並べて、自己正当化してんじゃないわよ!」「ははっ、あんたもね!」と、お互いに罵り合うときが来ているのかもしれない。

ゴールデンウィーク明け、私の経験ではそろそろ各地の学校でPTA総会が開かれる頃だ。芽吹く季節とは、内包されたエネルギーが爆発する季節でもある。不穏バッチこい、だ。

河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。