「専業主婦 vs ワーママ」がリアルの世界では表立たない理由
そんな日本の女性が義務教育時代に叩き込まれた「共感の予定調和」が限界に来ているのだろう……。そう思ったのは、ワーキングマザーに向けた原稿を多く依頼されるようになった頃からだ。ワーママが専業主婦に抱く、もはや嫌悪とも呼べる感情。専業主婦がワーママに抱く反感。リリースした記事がきっかけとなって、SNSでの反応がさまざまに噴き出す。
子供の学校でPTA役員をしたときに見聞きした、「『働いているからPTAはできません』って、お母さんが働いているかどうかは“個人的な事情”でしょう。それをどうして働いていないお母さんが尻拭いをしなければならないの。最近の働くお母さんたちはワーママだとか言って、結局わがまま」との見方や、「現状の教育現場が母親に期待している内容が、どう考えても、“女性も働くのが当然の現代”仕様にアップデートされていない」との指摘。毎年PTA役員選出でゴタゴタする冬と、一旦決定してから新役員体制で始動する春に必ず出てくる「PTAとは」関連のコンテンツや怒り・不満のツイート。ネット上ではこんなに「専業主婦 vs ワーママ」の需要があるのに、実際の保護者会ではひたすら誰もが押し黙り、手も挙げず、何事もないかのように取り澄ます。事前に井戸端会議やSNSで散々欠席裁判が行われているからだ。
みんなもう十分おばさんのくせに、おばさんになってまで、まだ義務教育時代の呪いに囚(とら)われている。もう他人の視線に鈍感になって自由に好き勝手なことしているくせに、女同士のことになったらその時だけ、あの子は別グループ、なんて、まだ「共感(できる私たちだけが)仲良し(よねー)ごっこ」している。スクールカーストだかなんだか知らないが、義務教育の根は深い。