匿名サイトで投げつけられた本音

先日、野田聖子さんとサイボウズ青野社長の、子育て政策に関する対談記事を書かせていただいたところ、ネットで大きな反響を得た。

チーム・コラボレーションを支援するツールを開発・提供するサイボウズ・グループ。2014年に、ワーキングマザーの働き方をテーマにした動画を公開し話題となった。続く2015年末に公開された父親を主人公としたワークスタイルドラマ「声」(出演 田中圭、オダギリジョー 他)の視聴後に行われた衆議院議員の野田聖子さんとサイボウズ代表取締役社長の青野慶久さんによる対談では、共働きで子育てする夫婦を取り巻く環境や困難、そして喜びについて交わされた。

反響のあまり2ちゃんねるやまとめサイトでも取り上げられ、スレッドやコメント欄の伸びがすごい。匿名サイトのいいところは、男性も女性も、補正を加えない本当の守備位置から外聞を気にせず粗い本音を投げつけてくるところだ。性別の見えにくい発言、そこに価値がある。その中にあった1つのコメントが、私の印象に残った。

“なんで女性って自分たちの生き方を自分たちで話し合わないの?
男に(文句)言うの?
男に(詰め寄って)解決してもらおうって魂胆で何が「女性が輝く社会」なのか?
何が「女性は強くなった」のか?
最終的に1つの意見にまとまらないにしても、
何が問題かのおおよそのコンセンサスは見えてくるでしょうよ。
思想や生き方が違う女性達が、女性だけのコミュニティでガチで議論し、
感情的になり、罵り合うようになれば、
野田氏の提言も、大抵の日本の社会問題も解決すると思います。
それをやらず、「多様性」なんて綺麗事でまとめても、
多様性維持の労力を男性までもが払っている。
よしましょうやそんなの。”

「多様性維持の労力を“男性までもが払っている”」という点には、異論を唱えたい。男性だって多様性の中にいて、決して“ザ・男”なんて想像上の動物1種類しかいないわけではないのだから、男性もまた「多様性」という議論の当事者だ。だが、「なんで自分たちの生き方を女同士で話し合わないの」「思想や生き方が違う女性たちがガチで議論し、感情的になり、罵り合うようになれば」「『多様性』なんて綺麗事でまとめずに」これはその通りだと思った。