ワーキングマザーの嘆きを、企業は本音ではどう捉えているか
さて、女性に活躍してほしい、労働力として活用したいと政府も企業も考えているわけですが、そのサポートをしているとはいってもまだまだ充分ではありません。法整備を行い、段階的に働きやすい環境を作っている、いわゆる過渡期だとも考えられます。が、一朝一夕に制度が整うわけでもありませんし、自分にとって都合の良い制度が整うまで待っていられない、という人も多いでしょう。結果的に、当事者の皆さんにとっては、ちょっと足りない、不満が残る状態が続いてしまっているのが、正直なところでしょうか。
特に先進的だと紹介されるような企業は、斬新な取り組みで、整わない法制度を超える仕組みを用意しています。もちろん、そうすることによって、企業イメージはアップしますし、良質な人材をリクルーティングすることも可能になります。一定以上の投資対効果があると考えているのでしょう。しかし、そういう企業ばかりではない。
形ばかりの制度を用意して、実際には運用させないで放置という企業は論外ですが、多くの企業は法で定められた最低限の仕組みを用意し、その中で働く人たちのサポートをしようと考えています。総務や人事の担当者、または経営者になってみるとよく分かるのですが、働く人たちの環境を整え、支援をするということには、その支援を受ける側が想像する以上に多くの費用がかかっています。なので、支援をせずに済ませようとまでは思いませんが、「最低限のことだけをやって、それ以上はケースバイケースでなんとかしよう」と考えてしまうのも、無理のないところなのです。
ワーキングマザーが企業と上手に会話をする、ちょっとしたコツ
企業はそれほど働く人たちの環境を整える支援に力を入れたがらない。そう書くと「なんだよ、だったらワーキングマザーになんか、なれないではないか」とお叱りの声が聞こえてきそうです。最近大きな話題になっている、保育所の待機児童問題などもそうですが、当事者にとっては「いまの問題」であって、制度が整うのを待っていられないのが実情でしょう。そこで、皆さんは企業の担当者(例えば上司や人事部門の責任者)に以下のように問いかけるはずです。
「うちの会社には、××××(例:在宅ワーク)の仕組みはありますか?」
制度として用意されているものがあれば使いたい、いまの困った状況を解決する仕組みがあれば利用したい、という気持ちで問いかけてみるのですが、企業の担当者からすると、以下のような答えになってしまいます。
「あります」/「ありません」
何を当たり前のことを書いているのだと思われるでしょうが、ここはとても重要なポイント。仕組みや制度が「あるか?」もしくは「ないか?」と問われると、企業の担当者は「ある/ない」で回答します。もし仕組みがなかったら、その時点で終了。たちまち手詰まりになってしまいます。しかし同じ状況でも、違う質問の仕方をするだけで、道が開ける可能性もあるのです。