「男って○○」「女って○○」は心理学のテクニックと同じ

しかし、

女性がいかに「口は出すが責任は負いたくないわがままな生き物」で「数字だけでは燃えてくれないめんどくさい生き物」で「解決しなくても共感してくれればいいと思ってる意味不明な生き物」であるか

という文をしげしげと眺めてみると、これを主語だけ男性にすげかえてもほぼ意味が通ることに気づき、ついヘヘッと口を歪めて笑ってしまうのだ。

男性がいかに「口は出すが責任は負いたくないわがままな生き物」で「感性だけでは燃えてくれないめんどくさい生き物」で「共感しなくても解決すればいいと思ってる意味不明な生き物」であるか

……ほら、ね。要は、自分と流儀が違う、理解しがたい相手へのフラストレーションをそれらしく書くと、だいたいどれも「そうだ、そうだ」と納得できてしまうということだ。ここで必要になるのが、前回のコラムで書いた「自分と流儀や背景を異にする相手の側に寄せて、通訳する力」である。かなたとこなたを取り持つ力、とでも言おうか。「女ってこうだよね」「男ってこうだよね」と対岸をラベリングしていつまでも川を渡らないのでは、一向に解決しない。だから彼岸を観察し、理解し、橋を渡す作業が必要になってくるのだ。

さすがに最近、女性活躍推進の流れで職場での女性のあり方や何やら、「女とは」の話と取り組み続け、メディアでもそんなのばっかり読んでお腹いっぱいになってきたせいか、「女って/男って◯◯」という話題は、ほぼ占いと同じ心理学のテクニックだのだなと思うようになってきた。

●「女って」「男って」……
・大胆なところもあるけど繊細!
・みんなと騒ぐのも好きだけど自分一人の時間も大事!
・ブルーも好きだけどピンクが好きな時もある!
・ご飯党だけれどパンもいいな!
・スイーツもお酒も楽しい、甘辛両党!
・基本、空気は読むけど、あえて読まない場面も!
・論理的に考えようとするけれど、感情に身を任せるときだって当然ある!

こんな感じで対極めいた両方を併記すれば、誰だって「ヤダ、これ俺/私のこと言ってる!」といった感じで心当たりがあるに決まってるじゃないか、ということである。人間は誰しも多面的で複雑上等、そんな単純でたまるかい。

そういうわけで、異性を「わがままでめんどくさくて意味不明」なんてラベリングはしないほうがいい。なぜなら男女関係なく、それをやった瞬間に自分へブーメランとなって返ってきてガツンと当たるから、である。

河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。