世界で戦うために――日清食品ホールディングス

カップヌードルで知られる日清食品の女性活躍推進の原動力は、ずばり“グローバル化”だ。即席めんで日本一のシェアを誇る大手食品メーカーだが、世界市場では国内ほどの存在感を示すことができていない。しかし、国内では、人口減少によりこれ以上の市場拡大は見込めないため、グローバル進出は喫緊の課題だ。

日清食品ホールディングス ダイバーシティ委員会事務局の高橋麻依子氏。人事部人材開発室に所属しているが、横断的に構成されるダイバーシティ委員会の1人としても活動している。

現在は世界19カ国に拠点を展開、80カ国超の国々で商品を販売しており、2014年度の海外売上比率は約20%だが、これを2025年までに50%まで引き上げていくことを目指しているという。

グローバル化を推進する中で、中途採用も増え、ダイバーシティ問題に対応することが求められるようになり、2015年5月よりダイバーシティ委員会が発足した。ジェンダーダイバーシティの目標は、「フツウに女性管理職が3割以上になる会社」。女性であることを特別視せず、普通に働きながら女性管理職が増える環境を整えることを目指している。

ダイバーシティ委員会には専任はおらず、さまざまな現場から集まったメンバーで構成されている。委員会では社員向けのアンケートを実施した他、講演活動などを行ってきたが、全社員一丸となって本気で取り組むためには、やはり経営陣を動かすことが大切、という考えに至った。

そこで役員向けに3分間のプレゼンテーション・ムービーを作成し、ジェンダーダイバーシティ推進のためのプレゼンテーションを行った。ムービーには社内のさまざまな職場で働く女性社員が登場し、「ママになっても営業したい」「海外で働きたい」など、女性社員たちの声を伝える内容。

これが功を奏したのか、翌年、社長の年頭挨拶では「ダイバーシティ元年」という言葉が使われ、「『外国人、女性、障害を持った人、さまざまな人が活躍できる企業体質にしなければならない』という発言を引き出すことができました」と話すのは、ダイバーシティ委員会事務局の高橋麻依子氏。経営陣からのお墨付きを得て、今後は在宅勤務や女性リーダー育成、育児サポートなど、さまざまな施策を予定しているという。