「長時間労働問題は少子化問題でもあります。団塊ジュニア世代の女性の一番若い人が41歳(1974年生まれ)、または幅広く捉えると37歳(1978年生まれ)です。あと3~5年ぐらいで「働きながら子育て出来る」と実感し、出産してくれなければ、この先100年人口は増やせない。つまり、ここ3年だけは人口増を最重要課題にして時限の措置でも取り組むべきです」と小室さん。

こうした状況の中、総理から出た「総労働時間抑制等の長時間労働是正を取り上げる」という明言。女性活躍法案でも、一番良い認定3をとるには「残業時間45時間以内は必須条件」となっています。

確かに日本人は勤勉で仕事第一で働き、高度成長期は結果を出してきた。それは否定できません。しかし時代は動いています。だいたい長時間働いても、日本の時間あたり生産性は22位(34カ国中)とOECD諸国の中でも低い。日本人の「働き方」も今大きく動くときを迎えているのだと思います。

6時間労働という考え方

そもそも1日8時間というのはなぜ決まっているのでしょう?

これはアメリカの労働者が1886年に「1日24時間のうち、仕事に8時間、休息に8時間、自分の時間に8時間を」を求めてストライキしたことに由来します。

人が決めたものなので、変えられます。

「1日の労働時間を8時間から6時間に短縮したら効率が上がり、従業員の意欲も高まった――。スウェーデンの職場で近年、そんな報告が相次いでいる」というニュースもありました(http://www.cnn.co.jp/business/35071464.html)。

日本でも一日6時間を取り入れているのはZOZOTOWNを運営するスタートトゥディです。「ろくじろうとは「6時間労働制」というスタートトゥデイ独自の取り組みです。8時間労働が当たり前という常識を見直し、働きすぎな日本人に新しい働き方を提案することを目的に実施しています」とHPにあります。

あなたは何時間働いて、いくら必要ですか?

結婚していたら、1人ではなく2人で働いて、何時間働いていくらもらえれば、安心して子育てできますか?

時間とお金が見合っているか……そろそろ、考えるべき時代になっているのではないでしょうか?

白河桃子
少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。1億総活躍会議民間議員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊1月5日発売『専業主夫になりたい男たち』(ポプラ新書)。