日本では「残業が当たり前」な4つの理由

1)特別条項で青天井の日本の残業

海外の人は残業せずに帰っているように見える。日本には労働時間の規制はないのか?

あります。日本には週40時間一日8時間という規制があります。それはドイツの48時間よりも厳しい規制です。(フランスは週35時間)

しかし、日本では労使合意があれば、いくらでも働かせられる国でもあります。

36協定(サブロク協定)の特別条項を労使が合意すれば、月45時間の上限以上の「青天井」に残業時間を課すことができます。月80時間からの残業は「過労死ライン」ですが、その80時間を超えた協定を結んでいる企業が7割。この特別条項があれば、月200時間超の残業を課すことも可能です。つまり上限がない。EUでは「残業も月48時間まで」という上限規制が義務づけられています。

2)企業にとってお得な少人数が長く働くこと

残業には割り増し賃金がある。残業させることは企業にとって、お得なのでしょうか?

お得です。アメリカはEUのような厳しい上限規制はないのですが、1.5倍という割り増し賃金です。日本は1.25倍。(60時間を超えたら1.5倍だが、中小企業は除外)今のままの割り増し賃金では、日本では人を増やすより、少人数に長く働いてもらった方がお得という仕組みになっています。

3)テレワークやフレックスがあれば問題解決?

長時間労働規制ではなく、フレックスタイムやITを使ったテレワークがあればいいのでは? いつでもどこでも働けるようになるほうが、自由に働けるし、子育ても楽になる。

確かにテレワークやフレックスを組み合わせた柔軟な働き方は大きな変化をもたらしています。しかしそこにも「上限」はあったほうがいいと思います。子どもが寝た後、家で働きたい人もたくさんいる。でも、日本の働くお母さんの睡眠時間は世界一少ないのです。いくら在宅でも、毎日子どもが寝た後深夜に働き、その後また昼間働きでは、持続可能な働き方とは言えません。

EUでは上限規制のほかに「インターバル規制」(11時間あけないと次の仕事を始めてはいけない)があります。テレワーク、フレックスといえど、何か上限はあったほうがいいと思います。既にインターバル規制を入れている企業もあります。

4)確かに子育てや介護がある人が長時間働けないのはわかる。でも若いうちは限界まで働く経験が必要だと思うけど……

この意見は多いです。なぜなら今世間でものを言うようなキャリア女性はみな若い頃、独身時代、ハードな働き方をしてきて今があるという成功体験があるからです。