――肩たたき的にパフォーマンスの低い中年社員に「あなた、限定で」という動きはありますか?
【畠山】現場では、あるようです。たぶん、会社はだぶついた管理職層を減らしたい、増大化する人件費を減らしたい意図があるのだと思います。ただ、成果を出していない人を限定正社員に誘導するのだとしたら、なぜその人たちが選ばれたのか、周囲の人間が納得できる評価軸を会社側が出さない限り、運用できないと思います。
【寺田】私は自分自身が東京限定の限定正社員なんです。営業部隊のリーダーをしています。その立場から言うと、実際、正社員と限定正社員の違いは不明瞭なんですね。やる気のある限定正社員はその職務範囲を超えてしまう。例えば私は部署の会議に出ますが、管理職にプレゼンをするのは総合職と決まっていて、発言もできない。でも、限定正社員でも社歴が長く、役職がついていたりすると、現場では経営的な仕事を任され、実際マネジメントをやっている。ところが、それが評価されず「(限定なのに)エラいね」で終わってしまう。なので、年内には総合職への転換試験を受けるんです。
【中西】その点私たち看護師は永久ライセンスなので、スペシャリストの道を目指すこともできますし、看護師長のようにマネジメントを目指すこともできる。そして、途中でその進路を変更することができるんです。
【富田】それはいいですね。一度短時間勤務を選択した人が一生「時短の人」扱いで昇進なしというのではモチベーションも上がりませんし、ライフステージに応じて、限定的な働き方と総合職的な働き方を行ったり来たりできるのが理想ですよね。
【畠山】私は、同じ会社の社員でも正社員と限定正社員で、あまりに待遇に差が開きすぎるのは問題だと思います。そうした意味でも、相互に乗り換えられる制度に賛成です。
【西川】総合職はいまだに長時間労働した人が評価される傾向にある。家庭の事情でそれができない人が限定正社員を選ばざるをえないのなら、そもそも正社員の長時間労働問題を何とかしなければなりませんよね。
仕事ができないのに給料を貰いすぎている中高年対策として制度を運用してほしい