「のび」「あげ」「落ち」を減らして、幼い印象をなくす

ひげがとれたら、語尾に注意を払いましょう。語尾の「のび」「あげ」「落ち」という語尾の言い方の癖をとりましょう。

まず、「のび」とは、「◯○がぁ~、△△ですのでぇ~、□□になりますぅ~」というふうに語尾の最後の音を不必要に伸ばしてしまうことです。このような話し方は子供の話し方に似ているため幼い印象を与えがちです。若い女性はことさら気をつけたほうがよいでしょう。さらに地声が高めの場合には、聞き手が苦痛を感じる場合もあります。

二つ目の「あげ」はよくテレビのお笑い番組などでも使われます。「◯○みたいな?」「◯○です?」というふうに、疑問文ではないのに語尾を上げてしまうというものです。質問ではなく、普通の文で語尾を上げると、自問自答しているような、自信のない印象を与えます。多くの場合は日頃からそのような話し方をしていることが多いために、プレゼンテーションでも出てしまっています。友人と話すには構いませんが、そのクセがプレゼンテーションで出てしまうようなら問題です。

最後の「落ち」ですが、「これは◯○かなと……」「分析したところあまりよくなかったのですが……」というふうに、最後まで言わずに語尾が落ちてしまっているという状態です。この状態になっていると、聞き手はその文章が終わったのかどうか、判断できません。後ろに更に何か文が続いていくのか、それともこれで終わりなのか、言いたいことがあるのだけれども、言いあぐねているのか……とさまざまな考えを巡らせてしまいます。聞き手は言い切ってほしいのです。「~です。」「~でした。」「~と考えます。」としっかりと断定することを心掛けてください。

語尾を丁寧に取扱う

のび、あげ、落ちのとり方ですが、言葉のヒゲと同様に自分が持っている語尾の癖を知らなくては直しようがありません。まずは自分の話し方を録音・録画したもので分析してみてください。また、他の人に自分の話し方の特徴を聞いてみてもよいでしょう。自分は普通に話しているつもりでも、周囲は気付いている(もしくは耳障りと思っている)ことを教えてもらえるでしょう。

少し古い映画ですが、オードリー・ヘップバーン主演の「マイ・フェア・レディ」は、学のない花売り娘の話し方を言語学者が矯正し、素晴らしいレディに変身させていくという物語です。話し方は、あなた自身を表現しています。どのような環境で育ってきたのか、どのような教育を受けてきて、どのような人達に囲まれているのかを表しているのです。

話し方が変われば、自分を受け入れてくれる世界が変わります。「~みたいな? ~かも?」という照れやごまかしを含んだ語尾を普段から使わないこと。一見遠回りに思えるかもしれませんが、プレゼンテーションの時だけ気をつければいいということではありません。日頃から丁寧に大切に、最後の言葉を相手に届ける気持ちで話してみましょう。

清水久三子
お茶の水女子大学卒。大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、数々の変革プロジェクトをリード。
2005年より、コンサルティングサービス&SI事業部門の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEの人材育成を担い、独立。2015年6月にワーク・ライフバランスの実現支援を使命とした会社、オーガナイズ・コンサルティング
を設立。延べ3000人のコンサルタント、マーケッターの指導育成経験を持つ「プロを育てるプロ」として知られている。
主な著書に「プロの学び力」「プロの課題設定力」「プロの資料作成力」(東洋経済新報社)、「外資系コンサルタントのインパクト図解術」(中経出版)、「一瞬で伝え、感情を揺さぶる プレゼンテーション」、「外資系コンサルが入社1年目に学ぶ資料作成の教科書」(KADOKAWA)がある。