高利回りで会員募集できる百貨店業界の懐事情

まずは三越伊勢丹の業績を見てみましょう。2015年3月期の連結損益計算書によれば、売上高は1兆2722億円と大規模です。それもそのはず、三越伊勢丹は百貨店業界売上ランキング第1位(2014年3月決算より)。日本一の売上を誇る伊勢丹新宿店を有するだけのことはあります。ところが営業活動でのもうけを示す営業利益は330億円で、営業利益率は2.6%です。経済産業省の発表した2013年度の全国平均は3.4%ですので、比べると三越伊勢丹の利益率は低いと言えます。これは単年度だけたまたま低かったのでしょうか?

過去の連結損益計算書をもとに作成した5年分の売上高及び当期純利益率の推移表は、図のようになります。

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三越伊勢丹ホールディングス 売上高および営業利益率の推移。

5年という中期で見た場合、売上高の微増に伴って、2011年に1%に満たなかった営業利益率は2015年には2.6%となり、改善されてきたことが分かります。ただ、前述したように全国平均と比べると低いです。百貨店業界は、一般的に利益率が低いと言われますが、この利益率だと1万円の商品を売ったとしても、営業コストを差し引いたもうけが260円しかないということになります。そこからさらに利息や法人税などを支払っていく必要があるため、会員が年利15%も得するような制度を運営するだけの体力があるのだろうかという疑問が浮かびます。

また、三越伊勢丹は銀行から借り入れをしていますが、【連結附属明細表】によれば、短期借入金の金利は0.44%、長期借入金でも0.82%です。いずれも1%未満で、非常に低い金利で資金調達できていることが分かります。それにも関わらず、会社は友の会の会員に高金利を支払っているのです。しかも、収益を圧迫する友の会の制度を廃止するどころか、むしろ友の会への加入を推し進めています。なぜこのようなことができるのでしょうか。