メンバーが自由に発言できるようにするためには?

前回の「チームを活性化するには? リーダーが知っておくべき3つの心得(http://woman.president.jp/articles/-/775)」では、売れ行きが目標を下回っている新製品に関する会議を例に挙げましたが、その続きを見てみましょう。

リーダー:どうしたら目標達成ができるのかについて、全員で考えていきたいと思います。実際の営業電話は、毎日何回かけていますか? 提案書を作成していますか? 顧客に対する新製品の説明が不十分なようですがAさんはどうですか、十分に説明できていますか?
A:は、はい。所定の資料を使って説明してはいますが……。
B、C、D:(沈黙)
リーダー:十分に説明できている、と?
A:はい……。
B、C、D:(沈黙)
リーダー:Bさんはどうですか?
B:はい、やはり資料だけでの説明には限界があると思います。顧客には発表会に来てもらい、そこで直接説明をすべきだと思うのですが……。
A、C、D:(沈黙)
リーダー:うーん、やはり発表会なのかな。Cさんはどう思いますか? 発表会が良いと思いますか?
C:……。

ここでは、リーダーが成果の背景にある「行動の質」を上げようと考え、個別の行動を確認する働きかけを行っています。しかし、それによってチームでは何が起こっているでしょうか? メンバー間のやりとりや関係性が整備されていないところにリーダーからの問いかけが行われているため、メンバー個々のモチベーションが下がってしまっています。

チームのやりとりを活性化するための質問を、リーダーは行っていません。リーダーがチームの「成功の循環」を意識した問いを作っていないのです。つまり、個別の行動にばかり焦点を当て、その背後にある思考やメンバー間の関係性を無視しているのです。リーダーがチームに対して自分の答えを確認するだけの質問をし始めると、メンバーの視野や思考を広げたり、お互いの理解を促進したりするような質問が出なくなってきます。そうなると今度は関係性も悪化し、「成功の循環」は逆回転し始めます。

こうしたときに必要なのは、まずはメンバー間のやりとりを促し、関係の質を高めることです。しかし、リーダーの問いかけから始まった先ほどの会話は、リーダーとAさん、リーダーとBさんの間だけで行われています。このままでは1対1のコミュニケーションが延々と続き、チーム内の関係性は全く変わりません。そして、話の内容も創発的というよりはリーダーの聞きたいことにメンバーが答えるという形式になってしまっています。このような進め方ではメンバーは自由に発言できず、当初の目的である目標達成の方法を全員で考えることなどできません。では、チームのやりとりを活発にするためには、リーダーはチームに対して、どのように問いかけたら良かったのでしょうか?