自分の世界観を作りたかった
3年目にモバイルゲーム部門に異動し、プロデューサーとして初めて自分で新しいサービスを立ち上げる経験をしました。それまで、まったくゲームに親しんでいませんでしたし、新規サービスをつくる経験もありませんでした。
異動は自分の希望です。当時モバイルゲームが流行し始め、当社でもモバイルゲームの開発に力をいれようというタイミングでした。自分の世界観を作り出す仕事に就けそうだと考えたのです。
プロデューサーはゲームの制作計画や全体的なストーリー作り、運営全般に責任を持ちます。モバイルゲーム部門に移ってみると、自分以外はみなゲームに詳しい人ばかり。その中で、自分が全てをまとめていかなければならないんだという思いが強くなりすぎて焦りが出てしまいました。
そのときも、上司の言葉に助けられました。「肩の力を抜いて、いろんな人の力を借りてやっていけばいいじゃないか」と言われ、そうだ、それは自分が得意とするところだと思うことができました。最初はどこまでメンバーに任せればいいのかわからなかったのですが、いまはその分野や仕事において自分より詳しい人に任せた方が良いものが出てくる、それなら全部任せちゃえ、というスタンスです。
ただし、責任は持ちます。自分が納得のいかないゲームを出して、成果が出なければ開発チームのみんなの仕事が報われなくなってしまうので、言うことは言います。もちろん、自分の判断が間違ったときはチームメンバーに「スミマセン」と謝りますし、そういうことも多々ありました。たとえば、いつまでにこの機能を完成させなければならないというときに、対応できるメンバーが足りなくなるケースがあります。そんなときは、私がもっと早く言い出せばよかったと反省します。
2012年、入社5年目の時にも、また自らの希望でスマートフォンゲーム事業へ異動しました。理由は前回と同じく、まさにこれから伸び盛りの市場で新しい挑戦がしたかったのです。その当時、カードゲームが大流行していて、後発で出すからには何か強い魅力になる不可価値をつけなければならないと考えていました。そこで思いついたのが、カードに「声」をつけるというアイディア。キャラクターとの親和性も高く、非常に高い人気を誇るゲームになり、現在670万会員、漫画化やアニメ化もされました。
「声」をつけるというアイディアも私1人で考えたものではないですし、やはりこの時も先輩や同僚や後輩、多くの人に数えられないくらいの相談をしながらの提案でした。成果を出せたのは、メンバーにも非常に恵まれたおかげだと思っています。
構成=Top communication 撮影=向井 渉