労働契約の解除=会社をすぐに辞められる!

【なの】例えば連載第7回「あなたの『給与』は正当に支払われていますか?」(http://woman.president.jp/articles/-/559)で説明してもらった“賃金の締切り及び支払時期”など、「実際に入社してみたら、労働条件通知書に書かれていることが守られなかった!」ということが起きたら、会社を訴えることはできるんでしょうか?

【岩沙】そうですね……訴えるというより、もし労働条件通知書で取り決めしたことと相違があった場合は、即時に労働契約を解除できます。簡単に言えばすぐに辞められるってことですね。

【なの】そうしたら、また転職活動の始まりか……。ちゃんとした企業なのか、見極めが大切ですね。

【岩沙】そうなってしまった場合、ちょっと変わった救済措置があるんですよ。明示された条件と労働条件が違い、即時に労働契約を解除した場合、入社するために住居を変更した労働者が、契約解除日から14日以内に帰郷する際には、会社は必要旅費(帰郷旅費)の負担をしなければならないんです。

【なの】具体的にはどういうことですか?

【岩沙】例えば名古屋の実家に住んでいた人が、ある企業に新卒入社するために上京してきたとします。そこで労働条件通知書に書いてあったお給料がもらえなかったり、条件とは異なる転勤をいきなり言い渡されたりして、「もう仕事を辞めて実家に帰る!」となった場合、即日退職可能で、14日間以内に実家に帰るようならば名古屋までの新幹線代は請求できるということですね。

【なの】それ、みんな知らないですよ! 雑学王ですね!

【岩沙】雑学王って……。弁護士なのですが。

【なの】ギクッ。岩沙先生、次回も法律にのっとった解説をよろしくお願いします!

【回答者】岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払い などのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』(http://ameblo.jp/yoshiyuki-iwasa/)も更新中。
【文・監修】アディーレ法律事務所(http://www.adire-roudou.jp/

監修=アディーレ法律事務所