就業場所は記載しなければならないが……

【なの】「2.休憩時間の時間帯」「3.転勤の有無」も、入社時に書面で書かなくていいのですか?

【岩沙】はい、書かなくていいんです。労働条件として記載しなくてはいけないものはほかにもありますが、主に

・労働契約の期間
・就業場所、従事すべき業務
・始業・終業時刻
・所定労働時間を超える労働の有無
・休憩時間
・賃金の決定、計算及び支払の方法
・退職に関する事項(解雇の事由を含む)

などとなります。

【なの】あれ? ≪休憩時間≫というものが入っていますが、「2.休憩時間の時間帯」はいいんですか?

【岩沙】あ、気づきましたか! これ、“ひっかけ”なんです。休憩時間に関しては必ず明記しなくてはいけません。しかし、問題の選択肢にあるのは休憩時間の時間“帯”なんですよ。6時間を超える労働に対しては少なくとも45分の休憩を取らなくてはいけないのはご存知かと思いますが、休憩を何時から何時の間で取ってくださいね、という取り決めはしなくてもいいんですよ。

【なの】できることなら、飲食店が空いている時間帯を狙って、ランチに行きたいのに……。本題に戻すと、書かなくてはいけない労働条件には≪就業場所、従事すべき業務≫とありますから、選択肢「1.従事する職務内容」は正解ですね。≪従事すべき業務≫って、どれくらい具体的に書かれるものなんでしょうか?

【岩沙】実は、従事すべき業務はとてもざっくりしたものでいいんです。例えば、「事務」や「広報」だとか、部署名やおおまかな職種で大丈夫です。私の場合だと、ざっくりと「弁護士」でも大丈夫なんですよ。そうしないと、いろいろ融通が効きませんからね。

【なの】なるほど。でも、同じ≪就業場所、従事すべき業務≫に就業場所とありますよね? 質問者さんのように仕事で転勤になってしまい、ここに記載されていた場所とは別のところで勤務することになってしまった場合は、労働契約違反にはならないのでしょうか?

【岩沙】まず労働通知書に明記しなくてはならない事項は、「労働基準法施行規則」という労働に関する規則で詳しく取り決めがなされていて、転勤の有無に関しては記載がありません。ですので、労働契約違反には該当しません。これがいただいた質問に対する答えとなります。ただし、勤務地が異動などによって変更される可能性がある場合には「その他会社が指定する事業所」と記載しておかないと、「転勤なんて聞いていなかった!」とトラブルになりやすいですね。

【なの】都内でずっと働くものだと思っていたのに、急に転勤と言われたらびっくりしますよね。