成功の要素3:女性特有の弱みが出やすい「デリバリー」を徹底的に矯正する

3つ目の要素は【デリバリー】です。デリバリーは「ボーカルインパクト」「ビジュアルインパクト」という2つの要素で構成されます。ボーカルインパクトとは、声の大きさやスピード、間(ま)や抑揚など、聴覚に与える効果です。ビジュアルインパクトは、ジェスチャー、アイコンタクト、表情、姿勢など視覚に与える効果です。残念ながらデリバリーは、後述する女性特有の動作が仇(あだ)となることが多いのですが、これもしっかりとメカニズムを理解すれば恐れるに足らず、です。

まずボーカルインパクト。声が小さい、抑揚がない、間が少ないのは男女問わずプレゼンの場数を踏んでいない人に多いのですが、特に話し方の語尾に女性特有の悪い癖が出がちです。例えば「○○ですぅ。」と語尾をのばしたり、「○○なのですが……」と結論を言わず語尾が落ちてしまう話し方です。“語尾のばし”は幼く、“語尾おち”は頼りなく聞こえてしまいます。また、話し慣れた人でも「○○の可能性があることを否定できないと言わせていただきます」など語尾にいくつも言葉を重ねて曖昧な印象を与えてしまう人もよく見かけます。

ビジュアルインパクトでも同様に、女性特有の仕草がマイナスに作用することが多くあります。例えば、首が傾いている、必要以上にうなずいて首振り人形のようになっている……などの仕草があります。また折角アイコンタクトをしているのに、それが上目使いでは、媚びているような印象を与え非常に残念です。このような動きは本人が気付いていないことが多く、自分の動画を撮って弱点を矯正するなど訓練が必要です。

とはいえ、無理してTED (Technology Entertainment Design)に出てくるような著名人、政治家、外国人のようなデリバリーを目指す必要はありません。話し方の基本動作に加えて、自分のプレゼンスとあったスタイルは何かを考えることで技化につながります。必要以上に上手に話す必要はありません。聞きやすく、誠意や信頼感がある伝え方を技化しましょう。

 ■デリバリーを技化する鉄則:「ノイズカットとフォーカス」 

デリバリー技化の鉄則は、「ノイズカットとフォーカス」です。ノイズカットとは、ムダを取ること。フォーカスとは、強調することです。

意識せずに話していると、「え~」、「あの~」など“言葉のヒゲ”と呼ばれる口癖や前述の語尾の癖のようなノイズが入りがちです。体の動きも同様に、相手が不愉快、もしくは頼りないと感じるノイズが含まれていることがあります。まずはボーカル、ビジュアルのノイズカットをして、その後に間や抑揚、ジェスチャー、アイコンタクトなどそれぞれのフォーカスのテクニックで自分らしさやインパクトを出しましょう。

ノイズがあるままだと、いくらフォーカスのテクニックを駆使しても、効果がありません。「まず徹底的なノイズカット、次にフォーカス」と覚えてください。プレゼンスの技化と合わせて、デリバリーのスタイルを確立すれば無敵です。

次回以降は、プレゼンスを技化するにはどうすればいいのか、具体的な方法を紹介していきます。

清水久三子

お茶の水女子大学卒。大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、数々の変革プロジェクトをリード。
2005年より、コンサルティングサービス&SI事業部門の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEの人材育成を担い、独立。2015年6月にワーク・ライフバランスの実現支援を使命とした会社、オーガナイズ・コンサルティング
を設立。延べ3000人のコンサルタント、マーケッターの指導育成経験を持つ「プロを育てるプロ」として知られている。
主な著書に「プロの学び力」「プロの課題設定力」「プロの資料作成力」(東洋経済新報社)、「外資系コンサルタントのインパクト図解術」(中経出版)、「一瞬で伝え、感情を揺さぶる プレゼンテーション」、「外資系コンサルが入社1年目に学ぶ資料作成の教科書」(KADOKAWA)がある。