現金やカードは旅行保険の対象外

まず頭に浮かんだのは旅行保険。出かける前にネットで海外旅行保険に加入しています。でも、この保険では、現金やクレジットカードは対象外のはず。現金はあきらめるとしても、心配なのはカードが不正に使われる場合です。

「盗まれたカードが使われても、クレカって補償があるんだよね」

「銀行のキャッシュカードも補償があるはずよ」

「それじゃ、カード会社と銀行に連絡してストップすればいいのかな」

いま待て、しばし。もし盗まれたカードが使われたとき、警察に届けていないと補償が受けられないのでは? 暗証番号が分からなくても不正使用はあり得るし、ここは早く警察に行こう。私たちは次の駅で電車を降り、元の駅に戻ることにしました。

カタコト英語で盗難証明書をゲット

駅員に聞いたところ、駅の隣に警察署があるそう。さっそく向かいましたが、建物には看板もなく、人影もなくて、ドアは閉まったまま。しばらくウロウロした後、ドアの脇にインターフォンがあるのに気づきました。ボタンを押して「財布を盗まれたので開けてください」と言うと、ドアが開きました。

中には制服警察官が3人ほど。しばらくはお互い、カタコト英語でやりとり。でも、すぐに英語のできる警察官を呼んでくれました。

現れた若い警察官に聞かれて、どの電車に乗ったときに財布をすられたか、すられたときの状況、財布に入っていた中身などを説明し、パスポートを提示。彼はその場でVISAに電話して、日本語のわかる担当者を呼び出してくれました。カードを使用停止にしてもらい、電話を切ってから、「盗難証明書を発行してほしい」と頼みました。英語で「盗難証明書」を何と言う? 急いでスマホで調べると、「ポリスレポート」でいいみたい。夫は「プリーズ・ギブミー・ポリスレポート」などと言いながら、ガイドブックを開いて「会話編・盗難にあったとき」のページを指差しています。

盗難証明書を作るには、盗まれたときの状況を英語で書く必要があるそうです。夫はスマホでスペルを調べながら英作文。20行ほど書いて見せたら「OK」とのこと。その場ですぐに盗難証明書を作って渡してくれました。私はこの間、金髪で青い目のイケメン警察官にみとれていました。