なぜ女性は管理職になりたがらないのか

――多様な働き方を実現させるためには、マネジメントする側の意識改革も求められますね。

【渥美】労働時間の長さではなく、時間内にしっかり結果を出せる人を正当に評価できる仕組みの確立が重要です。

女性活用のマネジメントでありがちなのが、男性管理職が理解ある上司のつもりで、ワーキングマザーに「子どもが小さいんだから早く帰りなさい。仕事は引き受けるから」と、代わりにやってしまうケースです。

一時的にその女性部下に感謝されるかもしれませんが、その管理職の負担が増すだけですし、周囲の社員が「彼女だけずるい」と思うようになります。

ワーキングマザーだけでなく、管理職も含めて時間内に結果を出し、早く帰れるように業務改善することが求められているのです。

――逆に、当の女性がみんな管理職以上になりたいのかといえば、そうともいえません。女性の意識改革も必要なのでしょうか。

【渥美】たとえ残業代がなくなり、長時間労働がひどくなっても、男性なら名誉欲が強いから、管理職というポジションを引き受けます。一方、女性は目の前の仕事に愛着を持ち、その仕事をずっと続けたいと思う人が多いので、責任や労働時間が増え、給料が減る管理職に魅力を感じるはずがありません。

最近、若手は女性だけでなく男性も管理職になりたがらない傾向があります。だからこそ、年齢や性別を問わず、管理職に憧れたくなる環境を整えることが大切なのです。

また、女性も独身の頃から120%の力で仕事をするのではなく、70%の力で90点を取るような仕事のやり方を身につけておくといいでしょう。

子どもが生まれてから定時で帰るべく、慌てて働き方を見直そうとしても、なかなか変えられないもの。独身時代のように仕事に全力投球できず、子育ても不十分となると、中途半端な自分が許せなくなり、辞めることを選んでしまう女性も多いのです。