キャリアのスタートは、「本業」ではない分野
私がコマツに入社したのは2000年のことでした。いまでこそ本業中の本業である建機の開発に携わっていますが、最初は平塚市にある研究本部(当時)でエレクトロニクス分野の研究をしていました。
コマツは日本で1位、世界でも2位のシェアを持つ建機メーカーというのが、一般のイメージだと思います。私自身も重厚長大なことをしている企業だと思っていて、学生時代はそうした研究本部があるとは知りませんでした。でも、実は私が大学を卒業して就職した頃は、多角化経営で建機以外にも経営の柱を持とうと、エレクトロニクス分野の研究にも力を入れていたんです。
研究本部では本業の建機とは異なる分野のエキシマレーザー、それから熱電発電技術の研究を行いました。コマツの「本業」ではないという位置づけもあったのでしょう、平塚の研究本部にはまるでベンチャー企業のような雰囲気もあり、新しい技術を世の中に出すことを目指していました。比較的女性のエンジニアも多くて、就職活動時に初めて研究室を訪れたときは、コマツってこういうこともやっているんだと思いましたね。
転機は2008年に、エンジンの開発部署に移ったことでした。エレクトロニクス一筋だった私が本当の意味でコマツという会社と出会ったと言えるのかもしれません。そこで初めて実際に期限が決められた中で開発を行うプレッシャーや緊張感、それゆえにこれまでとは違った形のやりがいを体験することになったからです。
大学卒業後、2000年にコマツに入社。研究本部にてエレクトロニクス関係の研究に従事した後、2008年から建設機械用エンジン開発に従事し、2012年に開発本部に異動、2013年から現職。
構成=稲泉連 撮影=永井 浩