――企業が本気になってきた理由は?

【渥美】まずは「外圧」。外資系企業は本国からの締め付けがありますし、日本企業も外資との合併が増えてきました。次に「トップダウン」。外国人や海外経験が豊富な日本人がトップになるとガラッと変わってきます。

ただ、トップが変わらなくても、担当者がすごく優秀で情熱を持ってやっている企業もあり、中から意識改革が進んでいく場合もあります。担当者は圧倒的に女性が多く、周囲の男性を巻き込んだり、上の立場の人を口説いたりして少しずつ変えようとしています。

――安倍政権が打ち出した成長戦略で、「上場企業に女性役員を少なくとも1人」という目標が掲げられましたが、日本の上場企業における女性役員比率はたったの1.2%です。

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女性管理職比率ベスト20

【渥美】あの発表の後わずか数週間で、いろんな企業が相次いで「うちも女性役員を登用しました!」と表明したのを見て、「そんなに簡単に抜擢できるんだったら、もっと早くやればいいのに!」と呆れました。でも、役員は外部から登用すれば4割くらいならすぐに達成できますし、上が変われば社内も一気に変えられるので、どんな形であれ、女性の登用を増やすのはいいことだと思っています。

しかし、女性を役員に登用するとき、1人では絶対に足りません。女性1人だと、男性社会のやり方に自分も染まり、女性の強みが生かされずに終わるか、もしくは浮いてしまって叩かれたり足を引っ張られたりしてだめになってしまうこともあります。大和証券グループ本社が、生え抜きの女性4人を同時に役員にしたように、最低3人セットで役員にするのは成功の秘訣です。

一方、女性管理職を増やすためには、下から育てなくてはいけません。こちらの目標達成のほうが、時間がかかって大変だと思います。