市場価値を高めるには、キャリアの手綱を自分で握る
同じ会社で定年まで勤め続ける。それが日本における「終身雇用、年功序列賃金」制度での「王道」でした。「王道」では、会社の中で望まれるキャリアを積み重ねる、いわば自分自身のキャリアを会社に委ねる、任せる形で昇進していきます。
しかし、会社の外から見た場合、そのキャリア、その報酬はあなたにとってベストなものでしょうか。一度会社に入った以上ほかの仕事を選べない……と思い込んではいませんでしたか? この考えを少し変えてみるだけで、仕事の積み重ね方も違ってきます。永続が保証されているわけではない1社に自分のキャリアを委ねるのではなく、自分自身を信頼して、キャリアを積み上げていくのです。
人材紹介会社に行ったことはありますか? 転職すると決めている、という状況でなくても、一度、今の自分のキャリアが外からだとどういうふうに見えるのか、確認してみましょう。自分のやりたいことを思い出し、今のスキルを棚卸しするいい機会になると思います。また、自分以外の眼を借りることで、思いもよらないキャリアプランが広がり、現在の仕事の迷いから、まったく違う展望が描けるケースもあります。30代以上の女性であれば、そこで特に効いてくるのが「管理職経験の有無」です。マネジメント業務の経験があれば、子供を持った上で、他社へ管理職もしくは管理職予備軍として転職するという選択肢が広がります。ですので、このようなときのために、「管理職になる」のは早ければ早いほど良いのです。
次回は、市場価値を意識してキャリアアップを考えていく上で、なぜ管理職経験が有効であるのか、そしてそうは言っても“管理職になるのを躊躇するあなた”へ贈るメッセージを届けたいと思います。
中小企業診断士。 経営コンサルタント事務所Office COM代表。二児の母。東京大学経済学部卒業後、大手通信会社にて主に法人営業に従事。1998年中小企業診断士取得後、のちに退職。10年間の“ブランク”を経て、独立開業。
現在は企業研修講師や中小企業への経営支援、執筆活動を行う。企業研修では会計、ロジカルシンキング等ビジネススキルを伝えるとともに、女性経営者を中心に数値とロジックに基づいた経営の重要性を伝える自主セミナーを展開。
最近は、これまでの実績と、自身の大企業勤務→専業主婦→子育てしながら独立開業、という経験を踏まえ、女性の働き方についての執筆や講演に力を入れている。「活き活きと働くオトナが増える社会」を目指して日々活動中。