変動金利なら繰り上げは損

確かに30歳代、40歳代などミドル層は住宅ローンと教育費という2つの大きな出費を抱えている。どうしても資金はそちらへ消えてしまうわけだ。

ところが、八ツ井さんの試算によると、NISAも上手に活用すれば、大きなリターンがなくても、ミドル世帯の家計を助ける可能性があることがわかってきた。

まずは最大の買い物、住宅ローン。払う利息を少なくすべく繰り上げ返済をするのと、その繰り上げ返済資金をNISAで運用した場合との比較をシミュレーションしてみよう(借入額3000万円/借入期間35年/固定金利2%の場合)。

毎年規則正しく100万円ずつ5年間繰り上げ返済すると、その効果(利息を払わずに済む額など)は約387万円。加えて、住宅ローン残高の1%を毎年控除できる仕組み(年間最大40万円を最長10年間控除:2014年4月導入)による減税効果が5年間で約132万円。合計で約519万円の効果が出る計算となる。(図を参照)

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「繰り上げ返済vs NISA」NISAの損得、分水嶺はどこにある?

逆に、毎年繰り上げ返済しないパターンならどうだろうか。貯蓄した500万円を5年後にまとめて繰り上げ返済した前提で試算すると、繰り上げ返済と住宅ローン減税の効果は計約498万円となる。

結局、毎年繰り上げ返済をコツコツするほうが21万円も得をする。しかし、後者の場合、毎年100万円を貯蓄ではなく、毎年非課税枠の100万円を利用してNISAへ投資した場合はどうだろう。そのリターンと元金を繰り上げ返済した効果の合計が21万円以上になるなら、毎年100万円ずつ繰り上げ返済するよりもお得という計算になる。

これは、どれくらいの利率で運用するということなのだろう。

「例えば、住宅ローン金利が1%以上の場合、NISA投資で[住宅ローン金利1%(住宅ローン減税:1%)]で運用できれば、繰り上げ返済せずに運用したほうがいいという計算になります。例えば、住宅ローン金利が固定の2%であれば、21=1%分の利益をNISA運用で出せばいいといえます。

変動金利のように1%(住宅ローン減税の率)を下回る金利の場合は、繰り上げ返済しないほうが得ですから、NISAで運用するならば、マイナス運用さえ防げればいい」

0~1%程度の利回りで運用できればいいのなら、ハードルは思ったよりも低そうだ。